自主企画へのご参加ありがとうございます。
拝読しました。
絵を描き始めたことで、いつもの帰り道の景色がまったく違って見える。
その冒頭の感覚がとても良かったです。
夕焼け、商店街、ビル、鉄橋、水面、電線。
普段なら通り過ぎてしまうものを、指で作ったファインダー越しに切り取っていく描写に、描く人の目線がちゃんとありました。
そこに突然「宇宙人さん」が現れる展開はかなり不思議なのですが、会話のテンポが軽くて読みやすかったです。
SFっぽさがありつつ、堅くなりすぎず、少し漫画的な勢いもあって、短編として入りやすい作品でした。
特に印象に残ったのは、絵を描くことの楽しさだけではなく、その先にある苦しさまで語られるところです。
賞に落ちること。
嫉妬すること。
嫌なコメントに傷つくこと。
描いたものが奪われたり、軽く扱われたりすること。
かなり現代的な痛みが並ぶのに、それでも最後に残る言葉が「描き続けて」なのが良かったです。
綺麗ごとだけで創作を肯定するのではなく、つらいこともあると分かった上で、それでも好きでいてほしいと願う。
その温度が、この作品の芯になっていたと思います。
ラストで、夕焼けの風景にもう一度向き合う場面も綺麗でした。
世界は最初からそこにあったのに、描こうとした瞬間に見え方が変わる。
その感覚が短い中でしっかり残りました。
絵を描く人だけではなく、何かを作っている人に届く短編だと思います。
読み終えたあと、少しだけ自分の見ている景色を丁寧に見たくなる作品でした。