部屋の中での創作と日常が静かに重なっていく語りが心地よく、落ち着いた気持ちで読めました。専門的な題材が出てきますが説明は自然で、主人公の「作る楽しさ」が素直に伝わってきます。夢中になる時間や、ふと現実に引き戻される瞬間が丁寧に描かれていて、ものづくりに向き合う感覚に共感しました。大きな出来事を強調するのではなく、ささやかな達成感を大切にしているところが印象的な一編でした。