二話(二)功と罪

 そういえば青中って校長先生が替わってから勉強がかなりきつくなってるらしいですね。効率競争成果主義。いかにもカリスマ講師が掲げそうな三本柱だ。はは……。

 自分のかつてのやりかたが田舎の学校でも通用するのか実験でもしているんでしょうかね?

 ……ええ。私も桂木信道かつらぎのぶみちがただの暴君だとは思ってません。前の学校でもあの手の先生は結構いましたから。結果がすべて。結果が出れば自信がつく。自信がつけば勉強も楽しくなる。成功サイクルをドンドン回していきましょうって事あるごとに言ってました。

 そのやりかたで伸びる生徒もいれば、当然ついていけなくなる生徒も出てきます。ついていけなくければ劣等生として見捨てられます。見捨てられた生徒はそのままです。周りも明日は我が身かもしれませんから構ってられません。

 夏休み前に屋上から身を投げたって子も……え? 二階? しかも花壇の向日葵がクッションに?

 ……なるほど。近所の噂とかSNSの書き込みなんてのはやっぱり適当なもんですね。

 それで、その子はいま?

 ……そうですよね。私もそのほうがいいと思います。ノイローゼになってまで通い続ける必要ないですよ、学校なんか。

 ええ。私も正直このままフェードアウトできるならそうしたいぐらいです。

 でも、戦略的不登校については……尾崎くんにお礼を言ってから。それから考えることにします。

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