第7話光子と優子、中学初の高座

落語研究会 高座にて




部室に置かれた小さな座布団。そこに正座したのは――


三遊亭ピカ葉(光子)


笑福亭優子丸(優子)







◆ 三遊亭ピカ葉(光子)




「え〜、本日の噺は『18きっぷ珍道中』でございましてな。


主人公は美香お姉ちゃん。卒業したばっかりで晴れやか〜な気持ちで列車に乗ったとですよ。




ところが…切符を出そうとしたら、財布の中から出てきたのは――青春18きっぷやのうて、図書カード!」




(会場:どっと笑い)







◆ 笑福亭優子丸(優子)




「駅員さんが言うたとですよ。


『お客さん、それじゃ新幹線どころか、漫画も買えませんよ!』て」




(さらに笑い)







◆ 三遊亭ピカ葉




「ほんで御殿場に着いたら、富士山がドーンと見える…はずやったけど、雲がドーンとおおっとった」







◆ 笑福亭優子丸




「雲ばっか見て『これも絶景やろ』てポジティブに言う美香姉ちゃん。


それ見て由美さんと詩織さん、腹抱えて笑いよる」







◆ 三遊亭ピカ葉




「で、最後は博多に帰ってきたら、妹二人が飛びついてきて――


『おかえり!おみやげは?』」







◆ 笑福亭優子丸




「愛よりも先におみやげの確認!」




(会場:大爆笑)







部員たちの反応


•「うまっ!もう漫才と落語の融合やん!」


•「旅のエピソードがぜんぶ笑いになるとか、センスずば抜けとる!」


•「ピカ葉と優子丸、もう学園祭で高座あげられるレベルやろ!」















高座:三遊亭ピカ葉の独演




座布団に正座する光子。観客は部員たち。高座の明かりが光子を照らす。







◆ 三遊亭ピカ葉(光子)




「さてさて、本日の噺は『初デート大騒動』でございましてな。


あの日、ある晴れた日に、わたくし、翼くんと二人きりでお出かけしたとです。」







「まずね、待ち合わせ場所で『おはよう』て言うた瞬間、顔が真っ赤っか!


『あ、あの…おはよう…』って、声が震えよったとですよ。本人も気づいとらんのやけど、近くの風船屋さんの風船より赤い!」




(観客くすくす)







「で、映画館の前で、飲み物買うときになったとですよ。


わたくし、ドキドキしすぎて、ウーロン茶を頼めんごとなった。『うーりょんぢゃ…』て、なんでか言うてしまう!


そしたら翼くん、思いっきり笑うて、『それ、ウーロンちゃうやん!』って。」




(観客大笑い)







「で、ポップコーンも並んで座ると、手が滑ってばーんと落とす!


『あ、あ、ごめん…』て言うたら、翼くん笑いながら『大丈夫よ〜』て。ほんなこつ、心臓ドキドキばい。」







「その後、写真撮ろうってなって、たまたまファンの子がおって『写真撮ってもいいですか?』て。


わたくし、思わずピースサインして写ると…翼くんもピース!


これがまた、世界で一番恥ずかしい瞬間やったとですよ。」







「最後にお土産屋さんで悩んだあげく、二人ともお揃いのキャラクターグッズ!


『あ、これ、わたくしも買う!』て翼くん言うて、ほんなこつ、青春やろ?」







◆ 締め




「こうして、初デートはドキドキと笑いに包まれて、無事に終わったとです。


めでたし、めでたし――じゃなくて、次はどんな騒動が待っとるか、まだまだ続くばい!」




(観客:拍手と爆笑)










◆ 三遊亭ピカ葉(光子)




「さてさて、前回の続き、初デート大騒動の話の後日談ばい。


映画も観て、ポップコーンもこぼし、写真も撮ってドキドキしたその帰り道――」







「家に帰ったら、何と優子刑事からの厳しい取り締まりが待っとったとです!


『光子! チューはしたんか?手は繋いだんか?デートの全容、白状せんね!』て。」




(観客くすくす)







「もうね、わたくし、汗だくで説明するしかなかとですよ。


映画館でのドキドキも、ウーロン茶事件も、ポップコーン落としたことも、写真撮ったことも、全部バレてしまいました。」







「でも、優子刑事、最後には『よか、初デートはドキドキも笑いも一緒やけんね』って、許してくれたとです。


ほんなこつ、厳しいけど愛のある取り締まりばい。」







◆ 締め




「こうして初デートは丸裸にされるほど、細かく報告されましたけど、青春と笑いに溢れた日となったとです。


めでたし、めでたし――いや、まだ次の騒動が待っとるばい!」




(観客:拍手と爆笑)










高座:笑福亭優子丸の独演(優子・光子初デート編)







◆ 笑福亭優子丸(優子)




「さてさて、みなさん、光子の初デートば見守った、わたくし優子丸の目撃談ばい。


光子が映画に行くっちゅう話を聞いて、ちょっとだけ刑事モードで尾行しとったとです(笑)」







「映画館の前で、光子が券売機に向かうやいなや…『ウ、ウーリョンぢゃ!』て、ウーロン茶言えんで口がもごもご!


相手の翼くん、思いっきり笑いよるとですよ。もう、観客の皆さんも想像して笑ってくださいばい。」




(観客くすくす・笑い)







「ポップコーンこぼしたり、写真撮ったり、手を繋ごうか悩んだり、光子のドキドキが全身から溢れとるとです。


その時の顔、もう、まっかっか!」







「で、帰宅したら刑事モードに切り替えたわたくし優子丸が登場――


『光子、チューはしたんか?手は繋いだんか?全部言いなさい!』


まるで裁判ばい(笑)」







「光子は必死に説明するばってん、うーりょん事件も、ポップコーン事件も、写真撮影も、ぜーんぶお見通し!


結局、丸裸になった光子、ほんと可愛かったとですよ。」







◆ 締め




「ま、刑事丸として厳しく取り締まったばってん、最後は『初デートは笑いもドキドキも一緒やけん、これでよか』って許してやったとです。


光子の初デートは、ドキドキと笑いに包まれた、まさに落語向きの一日ばい!」




(観客:爆笑と拍手)










高座:笑福亭優子丸の独演(優子・拓実初デート編)







「さてさて、みなさん、光子の初デートば取り締まったわたくし優子丸ですが、今度は私が拓実くんからデートに誘われましてな。


もうね、顔は真っ赤で、茹で蛸…いやいや、茹でたカニみたいに真っ赤になったとですよ(笑)」







「行き先は海の中道!拓実くんに『何か飲む?』って聞かれて、つい口から出た言葉が…


『チンじゃーべべベール!』


拓実くん、頭の中???、どうしてこんな言葉が出ると!?みたいな顔して、もう笑いも止まらんとです。」







「観覧車に乗っても、2人きりやけん、何話していいかわからん。


頭ん中真っ白、言葉が喉に詰まって出てこん。もう観覧車の頂上で固まる優子丸、まさに絶景と茹でカニ状態(笑)」







「それでも何とか初デートを無事終えて家に帰ったら、今度は光子刑事の取り調べばい。


『優子丸、手は繋いだんか?チューはしたんか?全部話しなさい!』


わたくし、デート内容が丸裸にされましたとさ…」







◆ 締め




「まぁ、こうして私の初デートも笑いとドキドキで埋め尽くされ、光子刑事の厳しい監視もあって無事に終了。


初デート落語、これもまた笑いの種ばい!」




(観客:爆笑と拍手)








•三遊亭柳桜(先輩1):「いや〜、優子丸、茹でカニ状態とか絶妙やなぁ!言葉選びも最高やし、観覧車のくだりなんてワロタばい!」


•笑福亭凛香(先輩2):「光子のドキドキ初デート、ウーロン茶が『うーりょんぢゃなん』は反則やわ!頭の中が追いつかん(笑)」


•三遊亭桜子(先輩3):「2人とも表情や間の取り方が自然やけん、ほんまにその場にいる気分になれる。1年生にしてこのクオリティ、将来が楽しみやねぇ。」




部室内には笑いと感嘆のため息が入り混じり、先輩たちも「これは公式SNSに上げんといかんばい」と、すぐに部のアカウントで紹介することを決めるほど。








高座上:光子(ピカ葉)、優子(優子丸)、先輩3人




光子(ピカ葉):「さてさて皆さん、聞いてください。初デートで、わたくし緊張しすぎて、飲み物頼む時に……」




優子(優子丸):「『ウーロン茶ください』って言えんやったと!『うーりょんぢゃなん』ってな、頭がぐるぐるで!」




三遊亭柳桜(先輩1):「うーりょんぢゃなん!?なんば言いよると!?(爆笑)」




光子:「拓実くん、頭を抱えて『えっ!?今の何?』と真顔。そしたら観覧車に乗って、2人きり……何話したらいいかわからんとです。」




笑福亭凛香(先輩2):「ほぉ、わかるわかる!観覧車は初デートの地獄やね(笑)」




優子:「さらに帰ったら、私刑事として取り調べばい。チューしたとか手繋いだとか、全部丸裸にされました!」




三遊亭桜子(先輩3):「刑事!?笑いの取り調べとはまた高度なギャグやなぁ!」




光子:「その結果、私も顔は茹でカニみたいに真っ赤になって、言葉が喉に詰まる……でも、拓実くんは『大丈夫?』って笑ってくれるだけ!」




柳桜:「いや〜、その茹でカニ表現、天才的やばい。間の取り方も完璧!」




優子:「で、わたくしも刑事として初デートの取り調べ。光子丸、全部正直に話しなさいと!」




凛香:「こりゃあ、もう掛け合い漫才やん(笑)」




桜子:「1年生にしてこのクオリティ……落語研究会も将来楽しみやねぇ。」




光子:「まぁ、こんなドキドキの初デートも、笑いに変えれば皆が笑顔に!」




優子:「そして、私たちが刑事役として取り調べると、部室中に笑いの嵐!」




全員(掛け声&ツッコミ):「うぉ〜!」「ばりウケるばい!」「次はどのネタ?」







部室全体が笑いと拍手に包まれ、先輩たちも後輩たちの才能に感嘆しつつ、自分たちも負けじと間や抑揚を交えたリアクションで加わることで、完全即興の掛け合い落語が完成。




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