「死んだ魚のような目」という散々な評判だけが先に伝わってくる構成が巧みで、読者はライカと同じ不安と恐怖を共有しながら玄関まで辿り着くことになります。
それでいて、手入れの行き届かない庭にひっそり咲く花の鉢植えという小さな描写一つで、ヴェルデーナという人物への印象がさりげなく覆される仕掛けが効いていました。悪評と裏腹に優しい人なのだろうという予感を、説明ではなく情景だけで伝えているのがうまいと思います。
母を想うライカの覚悟と、見知らぬ町への気後れが丁寧に描かれていて、年の差スローライフという尺の長い物語にちょうどいい、静かで誠実な始まり方でした。
緻密に作り込まれた骨太なファンタジー世界を舞台に、不遇な少年・ライカと、ミステリアスで少し抜けたお姉さん・ヴェルデーナが織りなす異色の物語です。
一見すると非常にシリアスで本格的なファンタジー作品ですが、ヒロインであるヴェルデーナさんの人を喰ったような軽やかさが、物語の空気をふわりと和らげており、決して重くなりすぎない心地よさを生み出しています。
過酷な境遇にいたライカくんは、彼女と共に過ごすことで幸せを掴むことができるのか?
そして、この独特な空気感を持つ二人の関係性は、これからどのように深まっていくのか……。
まだ、序盤のみの読了ですが、本格ファンタジーとしての読み応えと、純粋なラブコメとしての面白さが見事に融合した良作です。
二人の行く末が気になって仕方ない方に、ぜひおすすめしたい一作です!