バレエ教室の何気ない時間の中に、年齢も立場も超えたやさしい視線が重なっていくのが心地よい作品でした。恋に浮き立つ少女の姿と、それを見守る大人たちの記憶が、静かに呼応していきます。舞台の演目と現実がふっと重なる終盤には、願うこと、信じて踊り続けることのあたたかさが残り、幕が降りたあとも余韻が続く一篇でした。
バレエの名作『ラ・フィユ・マル・ガルデ』になぞらえて、さわやかなタッチで描かれた優しいお話がとても素敵です。