第2話感想

今回も「水尾くらげ」の魅力が濃縮されたエピソードだった。

ここで俺が「海月」を「くらげ」と”ひらがな表記”にしているのは、

週刊少年ジャンプ”公式サイト”の”作品ページ”の記述に準じたためである。

よって以降は「梟森未明」についても、「梟森ミメイ」と表記する。


話は戻るが、やはり「可愛い女性キャラクター」を生み出すということは、

それだけで”価値”があるというものだ。

なんといっても、漫画の世界は常に”レッド・オーシャン”──

今の世の中には、”競合相手”が星の数ほど存在する。

読者に「これでなくてはならない」と思わせる”メリット”が不可欠だ。

言い換えれば、作者は”その漫画独自”の”ストロングポイント”を

明確に提示しなければならない。


それに加えて、読者は”新しい漫画”になんぞに時間を割いてはくれない。

読者としては、”良く分からん漫画”に長々と付き合うくらいなら、

その分を”好きな漫画”に費やしたい──それは”当然の道理”だろう。

そもそも読んでくれないことが”当然”な中で、

それでも残ってくれている人間を一人でも多く引き込まなくてはならない。

だからこそ、一目見ただけで読者に”興味を抱かせる仕掛け”が必要になる。


ゆえに俺は、漫画において”絵柄”を最重要視している。

「美しい」と読者の心に”爪痕”を残せる空間を作り出すためには、

表紙や冒頭のページにこそ”工夫”を凝らすべきであり、そこに”妥協”など許されない。

その観点から判断しても、”作品の中心”として据えられたくらげの存在は、

”合格点”を優に超える”求心力”を持っていた。


俺は前回の第1話を読んで以来、頭の中にくらげが住み着くようになっている。

彼女という人間の詳細に、俺はどうしようもなく”興味津々”だ。

そんな読者の心情を見透かしたかのように、

第2話では、彼女の”学校生活”に迫るエピソードが描かれていた。


うなぎポテトの大喜利が採用される”秘訣”を知ろうと、彼女を観察するミメイ。

俺も一緒になって、彼女に関する”新たな情報”を期待しながらページを追う。

昼食では焼きそばパンを頬張っており、もしかしてこれが”好物”なのかと、

些細な描写にも目を留めてしまう。

そうやって精読していった結果、俺が分かったのは、

水尾くらげという人間は常時”ボケ倒す”ということだけだった・・・

他のことはまるで分からねえ。まさに”不思議ちゃん”だな。

「弟譲り」なんて発言もあったが、本当に弟がいるのかは定かではないし、

最後に自分のことを教えてくれるのかと思いきや、「好きなピザはL」ってなんだよ!?


だが、怒涛の小ネタで畳みかけてくる話の流れは、読み応えがあって俺の好みだ。

自分の感性としては「腹を抱えて笑える」という感想はあまり抱かなかったが、

”遊び心”をもって幅広い題材を”昇華”している点には感心する。

何よりも、くらげの”ブレなさ”がしっかりと描写されていることで、

作品を支える力のあるキャラクターが確立されているのを感じたぜ。


また、ミメイというキャラクターにも注目だ。

くらげのボケの”元ネタ”を見てみると、

山崎まさよしの『One more time, One more chance』は1997年のリリースで、

小栗旬が出演した『花より男子』は2005年放送のドラマだ。

作中で明確な”時代設定”は示されていないものの、

SNSサービス「X」の名前が出てくることから、少なくとも2023年夏以降の出来事と分かる。

おそらく、2025年現在を舞台としていると考えていいだろう。


くらげとミメイは”高校二年生”。

つまり、上記のコンテンツは”二人が生まれる前”のものだ。

そんな”世代ではない内容”を自在に扱えるくらげは、

常連投稿者「うなぎポテト」としての”実力”の一端を見せているし、

彼女に対して的確な”ツッコミ”を入れられるミメイは、

大喜利コーナーで採用されるために日々”勉強”を重ねていることが伺える。


「努力家キャラ」としての彼の側面を自然に裏付けており、好感が持てる描写だ。

くらげはミメイ以外の同級生にも遠慮なくネタを暴発するが、

多くの場合、それは単に「変なことを言っている」と受け取られるか、

そもそも”ボケ”として認識されていない。

つまり、「笑い」として成立していないのだ。

その一方で、くらげの台詞を一つたりとも零さず拾い、

それに合った返しを考えてくれるミメイの姿は、

彼を「相手役」として格のある存在に仕立て上げている。


くらげはそんなミメイを前に満足げに笑い、

自らの”美意識”の絶対的指標である「面白い」という評価を、彼に与えた。

このシーンによって、読者に対して

「彼女にとって彼でなくてはならない理由」が確かに存在するのだと、

”納得感”を与えることが出来ている。


また、「リスナー甲子園を目指す」という明確な”縦軸”を設けたのも良い。

前回ラストでの「私よりも面白くなってくれたらいいのに」という

くらげの”漠然とした願い”に対し、

今回のミメイは「うなぎポテトよりも面白くなって、リスナー甲子園で優勝する」という、

少年漫画の主人公らしい”大言壮語”をしてみせた。

彼が「具体的に何を目指すのか」を示す”目標”がはっきりと掲げられたわけだ。


”ストーリーの着地点”が明確になったことによって、

話の広がりを感じられるようになり、

くらげが経験者として腰を据えて悠々と予選を突破する姿や

そんな彼女とミメイが決勝で戦っている姿などが思い浮かんで楽しい。


読者に対する堅実な”地盤作り”が進められていて、

「生き残り」も夢ではないと思える内容だった。

俺ももちろんそのための協力を惜しまない。

ミメイも「打ち切りにしないで」と言っていたことだしな。

ということで、今回もアンケートは1位で入れたぜ!!!

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