私の中の二つの世界
鈴木
第1話 反対
私は、複数の薬を飲んでいる。
・デパケン
・ラミクタール(25mgと小児用5mg)
・リスペリドン
主治医は「飲まなかったら倒れることがあるよ」と言った。
その言葉が、ずっと頭のどこかに引っかかっていた。
――倒れる?
本当に?
薬を飲まなかったら、どうなるんだろう。
そんな疑問が、好奇心なのか反抗心なのか、自分でもよくわからない衝動として湧き上がってきた。
そして私は、二日間、薬を飲まないでみた。
最初に変化したのは足だった。
軽くなったような気がした。
ふわっと、身体が自分のものじゃないみたいになる感覚。
不思議と気分は悪くない。むしろ、少しだけ自由になれたような気さえした。
その日の帰り、夜8時。
階段を降りて家へ向かおうとしたはずだった。
気づいたときには、息が上がっていて知らない人に「大丈夫ですか?」と声をかけられていた。
救急車のサイレンの余韻が耳に残っていた。
倒れたらしい。
夢だと思っていた。
でも、あれは現実だった。
世間ではオーバードーズ(飲みすぎ)に気をつけろと言われる。
もちろんそれは大事だ。
けれど、「飲まないことが危険な場合がある」ということも、もっと知られていいと思う。
自分の身体は、自分だけのものじゃない。
そう思い知らされた出来事だった。
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