Lv.1のダンジョン配信者、視聴者が神々でスパチャ無双!!村を救ってLv.100のボスにざまぁする
冬野トモ
第一章 「戦神アレスからスーパーチャットです」はっ?
「はい、どうも皆さんこんばんは!
『待ってた!』
『初見です!』
『新作VRゲーム楽しみ!』
登録者数3万人。決して大手とは言えないが、熱心なリスナーに支えられている中堅ゲーム配信者。それが蒼太の立ち位置だった。
「今日はですね、発売されたばかりのVRMMO『エターナル・レガシー』を初見プレイしていきます。噂だとめちゃくちゃ没入感がヤバいらしくて……」
蒼太はVRヘッドセットを装着した。視界が真っ暗になり、次の瞬間――
光が弾けた。
♢ ♢ ♢
「……え?」
蒼太は困惑していた。
目の前に広がるのは、草原と森、そして遠くに聳える巨大な石造りの遺跡。風が頬を撫で、土の匂いが鼻をくすぐる。
「リアルすぎない……?」
VRゲームの没入感はすごいと聞いていたが、これはリアルすぎる。触覚も、嗅覚も、すべてが現実と区別がつかない。
緑のランプが点灯している。配信中だ。
さらに驚いたことに、左腕に装着していたスマートウォッチ型の配信モニターも機能していた。画面には――
【視聴者数:28人】
【コメント欄】
『あれ、ゲーム画面変わった?』
『新しいエリア?』
『グラフィックやばwww』
「み、見えてるんだ……配信、続いてるのか」
蒼太は深呼吸した。とりあえず、配信を続けるべきだと判断した。リスナーが見ているなら、パニックになってる姿を見せるわけにはいかない。
「えー、皆さん、これ多分バグってますね。ゲーム開始したらいきなり草原に飛ばされました。でもグラフィックすごくないですか?超リアル」
平静を装いながら、蒼太は周囲を見渡した。
そして、気づいた。
遠くに見える遺跡の入口に、文字が浮かんでいる。
【エルドリア大迷宮・入口】
【推奨レベル:10】
「……レベル? ダンジョン……? まあRPGだしな」
蒼太は遺跡に向かって歩き始めた。すると、スマートウォッチにコメントが流れる。
『@戦神アレス:行け、若者よ』
「……え?」
蒼太は思わず足を止めた。
アカウント名が「戦神アレス」。いつものリスナーにはいない名前だ。
「誰だこれ……新規さん?
気にせず先に進むと、次々に奇妙なコメントが流れてくる。
『@雷神トール:面白い人間が来たな』
『@豊穣の女神デメテル:無謀ですわ。装備もないのに』
『@知恵の女神アテナ:観察しましょう』
「なにこれ、神様ごっこ? まあ、いいけど……」
蒼太はダンジョンの入口に到着した。石造りの巨大な門が開いており、中は暗闇に包まれている。
「えー、装備とか何もないんですけど、とりあえず入ってみます?どうします、皆さん?」
コメント欄が一気に加速した。
『行け!』
『@戦神アレス:お前の勇気を見せよ』
『怖いなら引き返せw』
『@冥界の神ハデス:死んだら俺のところに来い』
「……なんかコメント欄のノリが変だけど、まあ行ってみますか」
蒼太は暗闇の中に一歩踏み入れた。
その瞬間――
キィィィン!
金属音が鳴り響き、蒼太の視界に光の文字が浮かび上がった。
【神々の配信システム起動】
【あなたは神々に選ばれし配信者です】
【視聴者(神々)の加護を受け、ダンジョンを攻略せよ】
「……は?」
蒼太は呆然とした。
そして次の瞬間、コメント欄が爆発した。
『@戦神アレス:ついに選ばれし者が現れたか!』
『@豊穣の女神デメテル:久しぶりの娯楽ですわ!』
『@知恵の女神アテナ:興味深い……』
『@太陽神アポロン:スパチャ投げる準備できた』
そして――
チャリーン♪
【@戦神アレスからスーパーチャット:10,000円】
「その剣を使え」
蒼太の目の前に、炎を纏った赤い剣が具現化した。
「………………は?」
蒼太の常識は、この瞬間完全に崩壊した。
________
お読みくださりありがとうございます! どうか蒼太くんに応援をよろしくお願いします。蒼太「星をよこ「言わせねーよ?」
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