呼びかけとコン

 俺は突然現れたかつての仲間に呆れすら覚える。

 

「ラルコス……なのか……?」


 アレクの声が聞こえた瞬間にリルの剣尖が僅かに下がる。

 だが切先は確実に魔王をいつでも仕留められるように向けられている。

 アカネは微動だにもしていない。

 ただまっすぐに魔王から視線外さずに見つめている。


「アレク……」


 状況を確認するような消え入りそうな声色のアレクを俺は哀れむ。

 状況を理解しようとはしているが、理解できていない。


「何が起きている?」


 アレクからの短い問いかけ。

 声色からはもう攻める響きはない。

 だからこそ俺は答えに詰まる。

 言葉を選べば誤魔化せる。

 だが……それは真実か?


「下がっていてくださいます? 今は正義の栄光グランドジャスティスがボスと戦闘中ですのよ?」


 先に口を開いたのはリルだった。

 声色は静かでとても落ち着いて聞こえる。

 だが、感情を抑え込んでいる。


「戦闘……? 年端も行かない少女を痛めつけるのがか……?」

 

 アレクが少女を指差し、そう正義の栄光グランドジャスティスに問いかける。


「必要ですわね。少なくとも世界のためには」


 それだけ言うとリルは剣尖を再び魔王へと向ける。

 これが最後の一撃だと言わんばかりの圧力を感じさせる。


「くくく……なるほど……」


 突如、瀕死のはずの魔王が喉を鳴らして笑った。

 壁に寄りかかった死に体で俺達をみてあざ笑っているかのような不快感が全身を駆け抜ける。


「人間というのは面白い。いつの時代もそうやって人間同士で無駄な正義と正義をぶつけ合う」

「黙れ」


 俺がいうと魔王が肩をすくめる。


「事実だろう? 


 その呼びかけに応えるものはいない。


「アレクと言ったか? お前は知りたくないのか?」

「何をだ……?」

「そこの3人がこの世界にどんな害を与えてきたか。どれだけ世界の理を破壊してきたか」

「時間切れですわね」


 リルが突きつけていた剣尖を魔王に突き立てる。

 

「ぐおおおおおお」


 悲鳴を上げながら消えていく魔王を横目に俺はアレクから懐疑的な視線を向けられる。


「さっきの話はなんだ?」

正義の栄光グランドジャスティスを追放されたお前には関係のない話だ。アカネさっさとウンランを治して帰るぞ」

「は、はい!」

「待て!」


 静止をするアレクを無視して俺達は恒星の輝きを後にするのだった。


――――――――――――――――――――――


「そんな話が……」

「あぁ。俺にはなんのことだかさっぱりで……」


 恒星の輝きから戻った俺は酒場で正義の信奉スティルジャスティスメンバーに今日見聞きした話をしていた。


「ラルコスやアカネ、リルが規格外の力を持っているのは僕達が1番よく知っていますけど……」

「ただ世界に害を与える人達には見えないですけどねぇ」


 みんなの言う通り、俺も正義の栄光グランドジャスティスが世界に害をなそうと何かをしているようには見えない。


「その話、うちも混ぜてもらえませんか?」


 そんな話をしていると胡散臭い話し方をする冒険者に声をかけられた。




 

———————————————————

遅くなりました…。

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