第14話 休み時間にて

「一つ、すごく気になっていることがあるんです。」

その後の休み時間もベルに積極的に話しかけてくれる二人。

その内の一人である、三立さんりつカレンさんが発言する。


「しかし、アスカにもくぎを刺された以上、これを質問していいのかどうか。」

「ええ?私のせい?」

話題の対象はもう一人の曽谷そたにアスカさんへと向く。


「そうですね。しかし、訊くことにしましょう。気になったことを、分からないことを、そのままにしておくことは、私にはできない。」

その会話の様子を、僕が離れたところから伺う。

ベルの発言を、行動を監視する。


「身長、低すぎませんか?」


その質問に体がピクリと反応する。

ついに、きたか。

分かっていた。

ベルの身長は、ごまかせないほど、高校生としては明らかに低すぎる。

疑問を持つのは当然だ。


だから、こう答えるように指示しておいた。

「小学生のときから止まってる。」


「え!ほんとなのそれ?」

「ああ。これで答えになったかな?」

ベルは三立さんの方を向く。


「………………にわかには信じ難いですね。」

おっしゃるとおり、苦しい言い訳だ。

しかし、実際にその身長であり、本人がそう言っているのであれば、信じるしかあるまい。


「ですが、納得するしかないようですね。話してくれてありがとうございます。気分を悪くしたのなら、謝りますが?」

「よいよい。そんなことしなくて。私も気にしてないから。」

「……そうですか。」

上手くいったようだ。

よいよいという発言に関しては後々改めさせるとして、うん、不安だったが、何とかなりそうだな。


まあ、思い返してみれば、あれだけ設定を作ったんだ。

宇宙人だとバレることは、ない、はずだ。


「そんなに転校生が気になりますか?」

と、ここで、後ろからサブローが声をかけてきた。

「そんなことないけど?」

「それにしては、注意を向けすぎですよ。いっそのこと、話しかけに行ったらどうですか?」

「あーー。」


考える。

どう凌ぐか、考える。

当然だが、僕とベルが同居してるのを話すわけにはいかない。

秘密だ。

でないと、変な噂が立つ。

勿論、このことはベルにも伝えてある。


さて、

「いや、いいよ。」

誤魔化すか。

本当のことを言って。


「実は、あの子、天文部に入るらしいんだよ。それで気になって、さ。」

「なるほど。ああ、そういえば今日は。」

「うん。部会だよ。」

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宇宙より @shimoyukikakeru

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