第14話 死を超越せし者なり!
『戦車砲の直撃を受けて、その程度のダメージとは……貴様、バケモノか?』
僅かに受けた傷が……衣服が再生していく。
バケモノと言われても仕方ないか。
スピーカーからの声が響いた後、戦車のハッチが開き男が姿を現す。
「俺様は
迷彩柄の軍服に身を包み、ヘルメットを被っている。
「自衛隊員か?」
「元、な。もはや、そんなものはどうでも良いが」
炭苦は酒を飲みながら皮肉げに笑う。
「つくづく思っていたぜ、戦車で人を撃ってみてぇなってよ。だが、実際撃ってみると、あっけなく消し飛びやがる。つまらねぇ」
「無茶苦茶言ってくれるな!」
相当な狂人のようだ……もはや、僕も人の事は言えないが。
「まさか、貴様みたいな男がいるとは驚きだ。どれだけ砲撃に耐えてくれる? 楽しみで仕方ない。フハハハ!」
「サバイバーたちに手を出さないでくれ!」
バカ笑いする炭苦に僕は叫ぶ。
「強い奴は弱い奴から奪う権利ってやつがあんだ。それは聞けねえな」
「だったら、ぶちのめしてやる!」
僕はカオスマグナムを構え、炭苦の乗る戦車に銃口を向ける。
「ハーッハッハッ! なかなか洒落たマグナムだが、そんなので戦車の装甲を貫けるか!」
「アル君は強いんだよ! アナタなんて楽勝なんだから!」
「女子供はすっこんでろ! オラ、とっとと、おっ始めるとしようか! 憤怒の戦神、戦野炭苦! 俺様の力を思い知れや!」
炭苦はハッチを閉め、戦車を爆走させ突撃しながら機銃を乱射する。
僕は負けじと思いつきの口上を叫ぶ。
「我はアウター・アルディオス! 死を超越せし者なり!」
ゼロキャリバーを構え、機銃をものともせず突撃し、剣を振り上げる。
──すれ違いざまに片手での袈裟斬りを繰り出し、戦車の装甲を斬り裂く!
鈍い金属音が響き、装甲の破片が飛び散る。
アスカはただ、じっと僕たちの戦いを見つめていた。
「ぐおおおっ!?」
炭苦は叫び声を上げるが、どこか高揚していように聞こえた。
「さすがバケモノ! だが、こいつの砲撃に何度も耐えられまい! 死ね! アウター・アルディオス!」
炭苦は砲塔を旋回させ、僕に向かって戦車砲を撃ち出す。
「見える!」
ゼロキャリバーで砲弾を切り払う!
僕の後方で2つの爆発が起こった。
「砲弾を切り払いやがった!? まぐれよ!」
またも、炭苦は砲弾を僕に撃ち出した!
「カオスマグナム!」
飛来する砲弾にマグナムを叩き込む!
砲弾は空中で爆発し、激しい煙が周囲を覆い尽くす。
炭苦の乾いた笑いがスピーカーから響き渡る
。
「ハッ……ハハ……こんなバケモノが、マジで存在するとはな。ホント、ここはヤバい世界だぜ」
「……まだ、やるかい?」
僕は不敵に笑い、余裕を見せつける。
レイダーたちを引っ込めてくれりゃ、全て片がつく。
早いとこギブアップしてくれれば良いのだけど。
「ハッ、これは戦いだ。どっちかがくたばるまで終わらん! さあ、まだ始まったばかりだぜぇ!」
「戦闘狂は厄介だな! マジでさ!」
僕はゼロキャリバーを構え、赤いマントを翻す。
その時だった、大地から地響きが唸り、全身に伝わってきたのを感じた。
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