第三章:冷徹な辺境伯と、宿命の再会 ​【三日間の孤独と、関所での緊張】

「わんちゃん」が急に走り去ってから、三日後。


​アウローラは、彼がいなくなったことに、想像以上に深い孤独を感じていた。三日という時間は、彼女の心を再び冷たい虚無に引き戻すには十分だった。しかし、彼の残した温もりと、手当ての跡が生々しい傷跡が、彼との出会いが夢ではないことを示していた。

​そして、ついにアウローラは目的地の辺境伯領の関所に辿り着いた。


​関所を抜けようと列に並んだとき、すぐ後ろに、フードを深く被り、全身を厚い外套で覆った一人の青年が立っていた。辺境の寒さ慣れた旅人のようだったが、その雰囲気に、アウローラは最大限の警戒心を抱いた。


​(アウローラの心境:誰か。私の後を追ってきた者ではないかしら?まさか、王都の追っ手がここまで……)


​しかし、フードの隙間から、ふと彼の鋭い黄金の瞳が見えた瞬間、アウローラは驚きに息を飲んだ。


​(あの瞳の色……わんちゃんに、そっくりだわ)


​その瞳の力強い輝きは、森で自分を慰めてくれた、あの銀色の獣を連想させた。疲労と安堵から、アウローラは一瞬ぼうっとした。

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