第二章:秘密の共有と、禁断の求愛 【八度目の告白の全容】
数日間の旅路で、「わんちゃん」と過ごすうちに、アウローラの心は緩んでいった。彼は、彼女が休息を取るときは静かに寄り添い、道に迷いそうになると先導する姿は、言葉がなくとも強い信頼感を抱かせた。
一緒にいて気持ちが緩み、**「動物にぐらい、本当のことを話し、愚痴を聞いてもらってもいいでしょう」**と考えたのだ。
二度目の人生で、秘密を話したら周囲に頭がおかしくなったと思われ、それ以来、ループする度に誰にも話せず、相談もできなかった。心の奥底に封じ込めてきた、あまりに重い呪いだった。
しかし、八度目のループで初めて出会ったこの大きな犬の温もりに、ふと話を聞いてもらいたいという感情が湧き上がってきた。
(この子は、人ではない。私が何を話しても、軽蔑したり、狂人扱いしたりしないわ)
人ではないからこそ、話せる真実。アウローラは、堰を切ったように、七度の輪廻の全容、なぜ今ここにいるのか、どういった理由で王都を逃げ出し、辺境伯領に向かっているのかを、一言一句、全て話した。彼女が声を震わせ、涙を流すたびに、「わんちゃん」は静かにその体を彼女に擦り寄せた。
(ロレンツォの心境:七度…?どういうことだ?七回も死に、その記憶があるというのか?彼女の瞳は、確かに七度分の絶望を映している……この小さな体で、一体どれほどの苦痛を抱えてきたのだ!あの糞第二王子、許せない!私は、この命にかけて、彼女の八度目の生を守り抜こう!)
ロレンツォは、狼の姿のまま、アウローラの手に頭を擦りつけて、**「わかっている」「大丈夫だ」**と伝えるように励ました。彼の心には、アウローラへの深い同情と、この命をかけて彼女を守り抜くという、騎士としての誓いが固く刻まれた。
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