運に振り回された、オッサンが幸せになる話

らぱんぴよ

第1話 底辺のオッサン

 「……終わった。」

会社、クビになりました。 どうも、“不運界のエース”こと俺です。


 「三十半ばにして無職かよ……はぁ。」


 今朝、出勤中に10円拾ったんだよな。

その瞬間、嫌な予感はしてたんだ。


 だって俺、これまで“良いことの後は必ず地獄”ってジンクスを持ってるから。

結果、地獄どころか社会的死亡。


 そんなことをブツブツ言いながら帰ってたら、

ガンッ!!

 「いてっ!!……おい、電柱!?お前まで敵か!」

頭を押さえながら見上げると、電柱が無言で立ってた。


 くそっ、どや顔してやがる。

 「踏んだり蹴ったりだな……っていうか、もう蹴る元気もないわ。」

部屋に戻って、ソファに沈み込みながら財布を開く。

 残金、3千円。

 未来、ゼロ円。

そんな中、一枚の紙切れがひょっこり顔を出した。


 宝くじ。

 「あー、そういや買ってたなぁ……。

このクジが当たる確率と、再就職の確率、どっちが高いんだろ。」


 笑いながら泣けてきたけど、とりあえずタバコを買いに外へ。

ついでに宝くじ売り場でチェックしてもらうことにした。


 売り場のお姉さんがピッとスキャン。

一瞬、目を丸くして、笑顔で言った。


「おめでとうございます!」

 

「……え?え?ど、どゆこと?」

レシートの端を指差されたそこには、

1千万円当選!!

……え?

 俺? 不幸界代表の俺が??

「いや、絶対バグだろ!?機械壊れてません!?」

思わず叫んだ俺を、お姉さんが困り顔で見ていた。


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