詩は、物語のように情報をすべて書きません。
むしろ意図的に書かないことで、読者の中の記憶・感覚・経験に語らせます。
雨の日の、ほんの小さな出来事。
折りたたみ傘を受け取ったという一場面だけで、恋の予感、心の揺れ、そして誰かの優しさを抱きしめるような温度が、静かに読む者の心へ染み込んでいく。
詩において、文字と文字の間に生まれる空白、そして途切れたフレーズは、読みやすくするだけの、ただの“未記入のスペース”ではありません。
空白は、心が追いつくための時間。
言葉にならない感情を、自分自身の中で受け止めることが、必要な時間であることが分かってきました。
静けさと余白。
そして淡い恋心を丁寧にすくい上げたこの詩は、読むほどに心の中に雨音がやさしく広がっていくような作品です。
感受性豊かな読者はもちろん、普段あまり詩を読まない人にも触れてみてください。
そして、自身が感じた恋を思い出して下さい。