ホープ・ゲート

ユミル

プロローグ 戦火

「生き延びたければ、研究所の場何の研究を研究をしているのか白状しな」


 銃口が額に押し当てられていた。


 恐怖に突き動かされるように、俺はすべてを話していた。


 数日後、解放された俺が駆け付けた研究所は、すでに炎に包まれていた。


 その中では、ぼろぼろの姿で立ち尽くしていたリムと、端のほうが黒く焼けていた研究所メンバーの集合写真だけが残されていた。


 ──机の上で、カイトは目を覚ます。


 いつも同じ夢を見る。旧研究所のメンバーを自分の裏切りによって殺した時の夢だった。


「ごめんなさい……ごめんなさい……」


 両の手を合わせるようにして泣いていた。


 机の上に焦げた写真に指先が触れる。


 外は暗く、星も月も見えない。


 窓を打つ雨の音だけが彼の罪を数えていた。

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