生徒会執行部の剣姫

生獣屋 芽怠

プロローグ


 きっとそれは憧れだった。


 そうなりたいと願望を持ち、差し出された手を掴んだ。


 憧れた姿になれるのならと笑顔を咲かせる。


 無邪気に。


 自分にないものを求めた。


 その果てに憧れは赤く染まる。


 どうしてこうなってしまったのだろう、何が悪かったのだろう。


 きっとそれは望んでしまったから。


 だから黒が落ちて来た。


 ごめんなさい。


 もう望まないから。


 望んでしまったのが罪なのか。

 

 ごめんなさい。


 もう憧れないから、だから許してください。


 求めた光は彼方。


 殻に閉じこもる。


 暗闇の中に憧れは閉まっておく、奥の奥へと。


 ごめんなさいと何度も繰り返した。


 もう、姿はないと言うのに。



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る