「不殺のイリアのレベル上げ」における語句についての釈明

サワラジンジャー

「柄尻」という語句について

 「不殺のイリアのレベル上げ」を読んでくださっている皆様に向けて伝えておかなければならない事が出てきてしまいました。

 本当は前からあった問題ですが、やはり放置しておくと迷惑をかけることになりかねないと思い、こうして作品自体とは少し距離を置いた文章の中で釈明させていただければと思います。


 当該作品の中で、長柄ながえ武器の柄の終端部分のことを「柄尻」と表現していますが、これは一般的ではありません。

 特に日本の槍や薙刀の場合、その部分は「石突き」と呼ぶことがほとんどです。日常会話で柄尻と呼ぶと「お前間違っているぞ」と笑われる危険があると覚えておいた方がいいかもしれません。


 ではなぜ私が「柄尻」を「石突き」と改めないのかと言いますと、それにはいちおう理由がありまして。

 日本の長柄武器の柄は基本的に木製で、その終端部分を破壊から保護するため、あるいは非殺傷の武器として使うためなのか、金属のキャップのようなものを嵌めてあります。

 石突きという語句はどちらかと言えば、その金属キャップのことを指しているように私には思えてならないわけです。

 柄が必ずしも木製ではなく、鉄製なことが多い当該作品中では、意味がずれるというかしっくりとこない感じがするわけです。


 日本の歴史において例えば竹槍などを使った場合、終端に金属キャップなど付けないに決まってますが、その部分を石突きと呼ばなかったのではないでしょうか。

 また西洋史においても、地位のない庶民が棒の先にナイフの刃だけ括りつけたような「手製の槍」を持って戦争に参加する場合、その反対側をわざわざ貴重な鉄を使って保護したとも思えません。

(関係ないですがそんなふうに参戦した貧しい傭兵たちが、「フリーランス」という言葉の語源なんだそうですね。本当でしょうか)


 つまり「石突き」という言葉とその成り立ちはちょっとな気がするわけです。誰がどういう理由でそんな呼び方をし始めたのかも、私の調査力程度ではまるで分りません。

 「柄の終端に金属部品を付けたからって、なんでそこで石を突かなきゃいけないの?」という疑問が湧いて仕方がないのです。(縦に置くとき地面の石を突くからという解説は在りますが、納得いきません。石があるとは限らないじゃん。普通は土じゃん)

 物語の舞台が日本であればもちろん何の問題もないのでしょうが、異世界においてそんな特殊なボキャブラリーが生まれることはない。異世界どころか地球の他言語においても、「長柄武器の柄の終端」に「石を突く」という意味の語句を当てることは無いわけです。(たぶん)


 そんなこんなで、小説内において「石突き」という語句を用いることにどうしても抵抗があり、あえて「柄尻」という正しくはない語句を使っています。(一般に包丁の柄の終端のことを柄尻えじりと呼ぶことはあるようですが、槍の穂先の逆側を柄尻と呼ぶ日本の語彙はなさそうです)

 またネット検索してみた限りでは、槍の柄の終端のことを英語で「butt」(尻)とか「butt end」(尻の終わり)と呼ぶことがあるようなので、やはり「石突き」よりは「柄尻」のほうが私の脳内でニュアンスが近くなるわけです。


 しかしながら同小説内において、長柄ではない剣などの柄の終端のことを、「柄頭」と表記している部分もあります。ほとんど概念としては同じはずなのに、なぜ「頭」と「尻」という真逆の漢字をあてているのかと言われると、返す言葉がないなぁと思ったりもするわけです。


 そのあたりはまぁいいじゃんということで、いったん無視してこれから先も強行しようと思います。

 ですが読者の皆様はくれぐれも、ファンタジーフィクションに過ぎない当該小説のいいかげんな語彙を正しいと思わず、お気をつけて実生活をお過ごしいただければ幸いと思う次第です。



 また、私は小説内で造語をけっこう用いています。類推しても意味が分からない時や、なんとなくわかるけど解説が欲しいなぁなどと思った時、ここにコメントで質問してくだされば、この連載(?)内で解説文を更新するかもしれません。(1エピソードに書ける応援コメントは1回きりみたいなので、そこはお気を付けください)

 更新しないかもしれませんが、別に悪意があるとかではなく怠惰なだけです。

 そこはなんとなくということで、よろしくお願いします。

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「不殺のイリアのレベル上げ」における語句についての釈明 サワラジンジャー @sawarajinjer

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