第21話「またもや幼女の無茶なお願い」

「ふぅ……どうしたものかなぁ」


 再び迎えた休日。

 俺は公園のベンチで佐奈ちゃんを待ちながら、またもや空を見上げていた。


 二日目にして早くも、村雲さんは返事をしてくれなくなった。

 来週も平日は彼女の家に行くつもりだけど、彼女に心を開いてもらうにはどうするのがいいのか、俺は悩んでいる。


「……ん?」


 空を見上げていると、突然足に重みを感じた。


 だから視線を向けてみると――

「えへへ……おにいちゃん、おはよぉ!」

 ――佐奈ちゃんが、俺の膝に座ってかわいらしい満面の笑みを浮かべていた。


 考えごとをしている間に忍び寄り、そのまま座ってきたらしい。

 相変わらず自由人だ。


「おはよう、佐奈ちゃん」

「んっ……!」


 挨拶を返すと、佐奈ちゃんは満足そうに頷く。

 相変わらずかわいい子だ。


「またボーッとしておられるのですね?」


 佐奈ちゃんがいるということは、当然親の美鈴ちゃんもいるわけで、美鈴ちゃんは何か物言いたげに俺の顔を見ていた。


「あっ、おはよう……」

「おはようございます」


 美鈴ちゃんは挨拶を返してくると、シレッと俺の隣に座ってくる。

 正直美鈴ちゃんとはまだ打ち解けていないというか、気まずい関係ではあるので、彼女を前にすると少し緊張してしまうようになった。


「佐奈、お兄ちゃんに言いたいことがあるんだよね?」


 そんな彼女は、俺の気持ちを知ってから知らずか、気にも留めていないように佐奈ちゃんに声をかける。

 それによって佐奈ちゃんの表情が、まるで頭に豆電球がピカッと光って浮かんだかのように、何かを思い出した顔になった。


「んっ!!」


『そうだった!』とでも言わんばかりに、佐奈ちゃんは美鈴ちゃんに向けて頷く。


 そして、期待するように目を輝かせながら、俺の顔を見上げてきた。


「えっと、どうしたの?」


 この子は結構突拍子もないことを言うというか、俺と休日の度に公園で遊ぶ約束をさせたり、ご飯を一緒に食べようと家に連れて行ったり、なんなら休日の度に晩御飯は美鈴ちゃんの家で食べるように約束させられたりと、とんでもないことを言ってくるので、俺は思わず身構えてしまう。


 正直、ここ数年で俺を一番振り回しているのは、まず間違いなくこの子だ。

 もちろん、それが嫌というわけではないし、佐奈ちゃんはとてもかわいいと思う。


 ただ――美鈴ちゃんに対して、滅茶苦茶気まずいのだ。


 それと、佐奈ちゃんラブの上条さんが俺に佐奈ちゃんを取られていることで、目が怖いし。


 そんなふうに身構えていると――

「さなね、おにいちゃんとゆうえんちいきたい……!!」

 ――やはり、俺にとってはとんでもないお願いだった。


 結婚をしている元カノと、子連れデート――みたいな感じになるんだけど、それはお父さんに頼むべきじゃないかな……?


 と俺は思わずにいられなかった。

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