暮らしの中に少しずつ入り込んでくる違和感が、とても身近な感覚で描かれているお話でした。
安いアパート、夜中の物音、理由のわからない不安といった要素が重なり、読み手も主人公と同じ位置に立たされるような感覚になります。
恐怖を強く煽るというより、「気づいてしまうこと」や「知ってしまうこと」へのためらいが積み重なっていくのが、この物語の怖さなのだと感じます。
日常の延長線上にある出来事として読める分、読み終えたあともふと思い返してしまう余韻があります。
静かに背中が冷えるような感触が残る、一編でした。