北海道・恵庭。
裏通りにあるバー「R66」には、静かにグラスを傾ける者たちが集まる。
穏やかなマスター加藤尽が、何気ない会話に耳を傾ける夜。
ふとした拍子に語られ始めたのは、40年以上も前の、熱くてバカでどうしようもなかった「あの頃」の話だった。
1973年。
東京・福生から転校してきた不良少年・尽が、凍えるような北の田舎町・恵庭に降り立つ。
ぶつかり合いながらも惹かれ合う、拳と不器用さでしか語り合えない男たちとの出会い。
殴り合いから始まる友情。
カツアゲと対決。
喫茶店でのたわいない会話。そして、やがて忍び寄る「強敵」の影。
くだらないことを全力でやって、バカみたいに笑って、喧嘩して、煙草吸って、夢を語って。
彼らが過ごしたのは、二度と戻らない「あの放課後」。
昭和の夕焼けに染まる高校時代。
「また明日な」と言い合えたあの時間が、人生でいちばん眩しかった。