普段着短歌 ー雨だれー

aoiaoi

雨だれ

散らかった青写真から君といる一枚拾い抱きしめている



雨だれをひとりで聴けば彼の人のぬくもり傍に寄り添うようで



ピアニカに息を吹き込み鳴るまでの微かな時の白さ寂しさ



ゴミ箱に捨て火に焚べたあの笑みは胸で焦げつき消えなくなった



生命の雄叫び数多吸い上げてなおこの星の空は青くて



デートのナン普通分け合うものじゃない? ひとりで秒で完食とかする?



剥き出しの肌よりむしろうすぎぬの奥に息づく肌に触れたい



音の色形研ぎだす調律の背中は青い結界を張り



お揃いであなたと買った万華鏡今もここからあなたを覗く



復活は傷が治癒することじゃなく傷から新たな芽が生えること



幼き日覚えた調べ我が胸に陽射しや風や木漏れ日となり



赦されてまた笑い合うそれは夢 名を呼ぶことももはや叶わぬ



祭りの夜恋したひとは年一度俗世に降りて遊ぶ狛犬



どれほどに手を伸ばしても届かない場所で煌めく君の旋律



何か煩い何か煩いと思ったら自分の自分への呪詛



君と僕心のシーソーカタリともしないいつでも僕が重くて



実のとこ愛はあっさり好みです濃すぎはきっと別れが辛い



生まれ出た技術は決して殺せないダイナマイトに核にAI



真似たって所詮はエセと知りながら「かんにんな」って君へ呟く



夏過ぎし日に甘やかに香りくる遠い恋かに金木犀は







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