「しりとり」が邪悪を呼び寄せる。戦慄不可避の超一級ホラー。

 完全にしてやられました。後半の泥沼のような展開がもう病みつきになりそうです。

 本作は五十代の主人公・中川が自分の老いを実感して思い悩むところから物語が始まります。体が肥満気味になってきただけでなく、年月を経るごとに友人の死に直面することも増えてきていました。

 そんな彼が出会ったのは四十年来の同級生・村田。再会した懐かしさから、中川は彼を家に招き入れます。さらに村田の進言で二人は懐かしの「しりとり」を始めることとなります。

 「しりとり」とともに浮き彫りになっていく秘められた真実。ズブズブと読者を暗闇へ引きずり込んでいく展開。素晴らしかったです。

 ホラー小説の名手が紡ぎ出す超一級のどんでん返し作品、是非ご賞味くださいませ。

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