第11話 両思い


 ソフィーと別れなければならない、それはレオナルドにとっても衝撃的で……とても嫌なことだ。


「リオ、このままわたしを連れて逃げ出して!」


 ソフィーはレオナルドに抱きついて泣いて懇願するが、少年に出来ることは彼女を抱きしめ返して──


「……うぅ、あぁ、うわぁぁぁ!」


 一緒に泣くことだけだった。

 大きな声で、涙と鼻水を垂らして泣くレオナルド。そんな彼を見て、ソフィーは涙を流しながらも優しく微笑む。


「ああ、リオ。ごめんなさい、無茶なことを言って。でもあなただけよ、わたしを思って泣いてくれるのは。そんな心優しいあなたがわたしは大好きよ」


 ちゅっとレオナルドの額にキスをすると、少年もまたソフィーの頬へキスを返す。


「……そ、ふぃー、……だい、すき、」


「まぁ! ふふふっ、わたしたち両思いだったのね! だったのに……うっ、わぁぁぁぁんっ!!」


 二人は抱き合って涙が枯れるまで、いや涙が枯れても泣き続けた。




「明日ね、この街を出るの。急だけど、お見送りにきて下さらない? お願いよ」


 部屋を出る時にソフィーに言われたその言葉を思い出してレオナルドは帰路につく。

 胸が痛みゲホゲホと咳き込みと、大量の血が小さな手を濡らした。

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