第4話 ソフィー


 その日もレオナルドは親方について街を歩いていたのだが、親方が足を止めたのはあの少女の屋敷だった。

 レオナルドが驚いて目を何度もしばたたかせている間に、親方はさっさと屋根へと登ってしまう。

 家の中からは中年の女が出てきてレオナルドを暖炉のある部屋へと案内する。



 案内されたのは2階の、通り沿いの部屋で位置的にあの少女の部屋である。

 だが奇妙なことに、部屋の扉は分厚い鉄製で大仰な鍵がいくつもかかっていた。

 ガチャガチャと派手に音を鳴らして鍵を外しながら女は言う。


「この部屋の中に女の子がいるけど、会話をしたら駄目だよ。女の子を怒らせても駄目だよ。あんたは黙って掃除をしな。それがあんたの為でもあるんだからね」


 意味深なそれにレオナルドは返事せずただ不思議そうに扉を見ていた。



 レオナルドが部屋の中へと足を踏み入れるとバタンと勢いよく扉は閉められた。


「いらっしゃい! やっとこうして直接会うことが出来たわ! わたしはソフィー、あなたは?」


 窓際のベッドに腰かけてにこにこと笑う少女はこうして近くでみると更に美しい。

 レオナルドはなんだか恥ずかしくなってそそくさと暖炉の中へと入り掃除を始める。

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