第三十六話 優勝者インタビュー

 文化祭が終わった翌週、真優美まゆみは『隅西すみにしニュース』の打ち合わせのため放送室にいた。

「クラッシックギター同好会の取材許可、もらってきたわ。折角だから、『隅西コン』優勝者インタビューも一緒に行おうと思ってるの。どうかな」

 秋恵あきえが言う。

「いいけど、できればわたしの名前は『フラワーノート』のままにしたいな」

「分かったわ。そういえば、どうしてその名前にしたの?」

 秋恵の問いに、真優美は髪留めに手を当てた。

「ラジオ用のペンネームなんです」

 そこに、道也みちや周央すおうが入ってきた。周央が報告する。

「応募テープの返却、終了しました」

「ありがとう。日陰ひかげ先生は何か言ってた?」

 秋恵の問いに道也は答えた。

「『隅西コンも終わったし、三年生はそろそろ引退だな』って言ってました」

「そうね、次から取材は高橋たかはしくんメインでやってもらおうかしら」

 秋恵は周央を見る。

「そのことなんですが、戸祭とまつり椿つばきさんに『隅西ニュース』の取材を手伝ってもらってもいいですか」

 周央の提案に秋恵はうなずいた。

さかさん、インタビュー原稿よろしくね」


              ○


 十月半ば、クラッシックギター同好会のある音楽準備室には、『隅西ニュース』のメンバーが集まっていた。

「戸祭さん、合唱部の方は大丈夫なの?」

 真優美に尋ねられた椿は笑顔で答えた。

「夏のコンクールが終わったので、しばらくは」

「そう、それじゃアナウンサーにチャレンジしてみる?」

 秋恵はマイクを差し出した。


              ○


 周央がデンスケの録音ボタンを押すと、椿がマイクを持って話し出した。

「『隅西ニュース』の時間です。本日は『クラッシックギター同好会』に来ています。実は、先日の『隅西コン』に出た方が在籍しているんですよ」

「会長の工藤くどうと」

「副会長の山崎やまざき、二人合わせてクドヤマコンビです」

 工藤と山崎が息を合わせて挨拶する。

「クラッシックギター同好会は新入部員を絶賛募集中です。みんなの力で、同好会を部に昇格させましょう」

「音楽準備室で待ってるよ」

 工藤と山崎が張り切って言う。マイクを椿から受け取った秋恵が話を継いだ。

「それでは、次に紹介するのは『隅西コン』優勝者のジュニアとフラワーノートさんです」

 秋恵は工藤と山崎の後ろにいた一希かずきにマイクを向けた。

「実は、ジュニアさんはこの同好会の三年生なんです。クラスメイトのフラワーノートさんと一緒に応募されたんですよね」

「ああ。フラワーノートが作った歌詞に俺が曲をつけたんだ」

 一希は素っ気なく言う。

「なるほど、ではあの歌はお二人のオリジナルなんですね」

「はい」

 真優美もうなずく。

「これからもお二人で歌を作っていかれるんですか」

 秋恵の問いに一希は答えた。

「できればな」


              ○


 録音も無事終わり、真優美たちは音楽準備室を後にした。

「まさか、真優美にそんな特技があったなんて、知らなかったな」

 秋恵がしみじみと言う。

「詩を書き始めたのは今年からなの。そのノートを偶然横澤よこざわくんが拾ってくれて」

「あーあ、そういう話こそ録音したかったのに」

 周央がため息をついた。


              ○


 『隅西ニュース』で流されたインタビューは好評で、クラッシックギター同好会への見学者も来るようになった。一希も新曲を作るために音楽準備室でギターを奏でている。真優美は『ノゾミのリズムで』にハガキを書いて報告した。


「『ノゾミさん、こんばんは。わたしとクラスメイトが作った歌が、文化祭のコンクールで優勝しました。わたしたちの歌をみんなに聞いてもらうことができ、本当に嬉しかったです。これからも友人と一緒に、素敵な歌を作っていけたらいいな、と思っています。フラワーノートより』

 フラワーノートさん、良かったね。いつかその歌、あたしも聞いてみたいな」


 ノゾミ・トクエが自分のハガキを読み上げる声を聞き、真優美は目を閉じて喜びにひたっていた。

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