社畜の俺は愛され王子に転生したので魔王国を救います

NAar

第1話





これは所謂あれだ。

転生だ。俺はこれを知ってる。何回願って何回の夢にみたことか


それであれだろ?

一旦時空の歪みとやらに引き込まれて、そのあとにでもスキルが発動してしまうんだろう!

ステータスオープン!言う!これは絶対言わせてほしい!



ヴンッてなって、レベル1とかから始まって数ヶ月後には世界最強!これだ。

可愛い女の子を途中で助けて、戦って、仲間になって 友情とかも芽生えた末の恋もいい!それもいい!

1人とは言わず2人以上で僕を取り合う。だが心はひとつ!本命はひとり!これに関しては譲れないな!話がややこしくなる。


別パーティとの死闘も捨て難いなーっ!


何も見えない聞こえない。

上か下かも分からない空間に、漂うという表現さえも正解なのか分からない。

なんとなく自分の手足は感じる程度。




なんでこうなったのか、暗い夜道までは覚えてるんだがどうにも思い出せない。後ろから刺された分けではないし、交通事故でもない。もしかしたら過労死ルートかもしれないな。

社畜同然のブラック会社だったし。

同期がどんどん辞めていく中で、そのうち転生するかも!って思ってたら割と乗り越えられた感はある。


この強い精神力は、転生あってのものだ。

それほどパラレルワールドや異世界転生に思いを馳せていたんだ。




******





真っ暗な視界に一筋の光。

虹色に輝く暖かい光がまっすぐ自分を照らしていて、キタキタと歓喜する、

これからどんな未来が待ち受けているのか。


自分で言うのもなんだが、この期待を裏切る言葉を僕は知っている。



そう、フラグだ。

余りにも前振りが長いとだいたい回収される。







「異世界人よ。我はこの世界を統べるもの。」


暖かい光は世界を統べるものらしく異世界転生は成功していて、生前の記憶はバッチリ残っていた。


ー神からの啓司です。


貴方のスキルは種を撒くスキル。


転移先は、魔王城。

混沌渦巻くこの世界で、きたる勇者との戦いに備えなさい。

大地は枯れて魔王族の権力が衰えたせいで、世界が傾こうとしています。



もう一度、言います。


貴方のスキルは、種まきです。





「…いや、思ってたのとちがーーーーうっ!!!!」





おかしいと思ったんだ!

だいたいなんだか自分語り長くないか?ってそもそも思ってたんだ!

普通、ブラックアウトして天啓聞いて、すぐ目覚める!これが王道ルートなハズなのに!



それでもせっかくの転生なので、とにかく聞けることは聞いておかないと 良くない展開になるのはお約束なのも転生ではあるあるなので、光しか見えず自分の姿形も分からないままだが 光に向かって正座をしてみる。



「発言、は許されていますでしょうか」


「許しましょう」


眩しくて見えない。さっきまではほわほわするくらいの暖かい虹色の光だったのに、心で文句を言ったからか、とても眩しくて目を開けてられない。

これ多分、わざとだ。目が潰れそうだ。




手で光を遮りながら、眩い光に目が開かない。目があるのかも分からないが、眩しさを認識しているので目もあると信じる。


「お許しいただきありがとうございます。先程の件ですが突っ込みどころが多すぎて、どこから聞いたらいいか些か悩むところですが、、、とりあえず」





両手で目を抑えて光のある方へ顔を上げる



「魔王城って何」

「不敬です」

「っわーーー!大変申し訳ございませんでした!」

ビカーーッと更に光が強くなり 最早、攻撃に近い神の戯れに綺麗な土下座を披露した。



光の眩しさは変わらないが、なんだかゆっくり点滅している感じがする

「大変、御無礼を働いてしまい申し訳ありませんでした」

土下座のまま頭を地面みたいな何かに擦りつけてる気持ちで深々と謝罪する

「許します」


少しだけ額を地面から浮かせて、おずおずと聞いてみる

「ちなみにそのー、種を撒くスキルと聞こえたのですが そのスキルに対するご説明をいただけたら大変ありがたいのですが」



「望みすぎです。不敬です」

ブラック!!!!真っ黒!!この神真っ黒!

自分で考えろ!聞けばすぐ答えがもらえると思うな!と怒鳴る上司そのもの!

まだ一度もちゃんとした答えをもらってないけど?!


チカチカする光の間隔がだんだん短くなってるのは気のせいだろうか?音もする。ピコンピコンて


「いいですか一度しか言いません。種を撒くのです。そこら中に、1辺も無駄にしてはいけません。貴方が望めば世界は応えます。」



光が点滅し始めて、段々と大きくなってきた。

次第に真っ暗だった空間が虹色の光に包まれた。

きっとこれはもう飛ばされる準備が始まっている。音も徐々に大きくなるのでこちらも声が大きくなる




ままま、、待ってください神様!!

「ステータスオープンは、、っ!これだけは言いたいです!!!」

「どうぞ」

「違う!そんな軽い感じぢゃなくて!もっとこう。ゲームのチュートリアルの1番最初に説明されるあの感じがっっ!あぁもう!そうじゃない感がすごい!!」



話を最後まで聞いてもらえず一瞬にして光につつまれた。




虹色の光。

何も感じない。さっきははっきりと感じた手の感触や、目があったと思い眩しいとさえ思ったのに。土下座まで披露したのに。




でもこれだけは。

生前何度も頭の中で繰り返した。






ステータス オープン






これだけは言わせてほしかった。








無常にも、この空間では口と言う概念がもう存在しておらず言うことが出来なかった。


目が覚めた時、自分は何ができるのだろうかと恋焦がれた異世界転生に、期待と不安でいっぱいになりながら意識を手放した。




*******




初めまして!なありと言います。

異世界スローライフで顔面偏差値高めの方たちに囲まれた溺愛ライフを書けるように頑張りますので、どうぞ暖かく見守ってください。

面白かったらフォロー、★よろしくお願いします!


スキル発動までもう暫くお待ちください

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