道端で押しつけられた一冊から始まる、不気味な余韻がじわりと残る物語でした。“音が消えない”という描写が、恐怖ではなく「逃れられない気配」のように響き、読後にふと耳を澄ませてしまう感覚があります。見えない出来事に巻き込まれていく語り手の弱さと、人は孤独な恐怖を共有したがる生き物だという一言が心に沁みました。読み手の想像をかき立てる余韻の楽しさもある作品だと感じました。