29歳の栄理子と奔放な年下青年・由鷹の危うい関係を描く短編。雨のモチーフが出会いから再会までを象徴的に彩る。自尊心を守るため嘘をついて別れを選んだ栄理子の痛切な孤独や、相手の愛を信じきれない不安な心理が秀逸だ。歳の差への引け目や、残酷な青年の魅力に抗えない大人の女性の脆さが、冷たい雨の情景と共に美しく、かつ生々しく綴られている。切ない大人の恋愛小説を好む読者、歳の差ゆえの葛藤に共感する人におすすめできる。