Final Episode...(EP.023)

俺は預かっていた鍵でゆっくりと施錠されたドアのロックを外し、家へと入った。

「ただい——」

「やっと来た〜!」

「あ!お兄ちゃんおかえり~」

俺がただいまと言い切る前に言われるほど待っていたのかと思ったが、茜の姿が見当たらない。

「あれ?そういや茜は?」

「ああ、茜姉ちゃんなら上でスマホいじってるよ。呼ぶ?」

「呼んでくれるのか?じゃあ、お願いします〜」

「わかった〜」

そう云うと、大きく息を吸って

「茜姉ちゃーん!下に降りて来てー!」

「あいよ〜」

面倒くさそうに降りてきたのも束の間、俺を見るなり、人が変わったように全力で飛びついてきた。

「優ちゃ...ああ、いや、優!待ってたよぉぉぉぉ!」

そう言いながら俺の肩を掴んで前後左右に激しく揺さぶる。

「おお、ありがとう」

俺は揺さぶられながら感謝を伝えた。

「ところで、さっき何でちゃん呼びしたの?」

俺がそう云うと、ぴたっと動きを止め、俺をみながら疑問そうな顔を浮かべ、

「あれ?優って女の子でしょ?」

「...へ?」

俺がぽかーんとした表情を浮かべていると、楓が

「え?まさか自分で気づいてなかったの?自分が『俺っ娘』だってこと」

俺はルアと顔を合わせると、同時に

「え...? そ、そうだったの!?」

と大声で云ってしまった。

楓は少し驚いた表情をむ見せ、

「まさか、男の娘の自覚なかったんだぁ...」

俺はそのまま顔を赤らめて自室に逃げ込んだ。そのままベットにダイブして枕に顔を当てて

「俺って、女だったのぉぉぉぉぉ!?」

と大声で叫んだ。


そうして、俺の第二の(波乱万丈すぎる)人生が幕を開けたとさ...

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