第9話 変化…
今朝の空はついに青く戻った。ただ明るいだけでなく、澄み切った青だ。まるで世界が雨に洗い流され、ようやく少しの間、落ち着くのに十分だと感じたかのようだ。
俺はいつものように自分の席に座り、二十数分間開いてもいない教科書の表紙を眺めていた。
教室はまだあまり賑わっていなかったが、アイザワはすでに到着していた——指でペンを弄びながら、黒板の課題リストを見ていた。
「随分とスッキリした顔ね」と彼女は顔を向けずに言った。
俺は肩をすくめた。「空が、な。人はまだ分からない」
「そんなこと言えるのは、自分の計画がうまくいって、内心喜んでいる人の口からだけよ」
俺は小さく微笑んだ。「成功したと言うには早すぎる」
アイザワは自分の席に座った。「でも少なくとも、クスノキは今日、学校を休んでいない」
俺は思わずドアの方に目をやった。そして、そこに彼女がいた。
クスノキ・シオリがゆっくりと入ってきた。その足取りは慎重だったが、それは恐れているからではなく、むしろ歩き方を改めて学んでいる人のようだった。
彼女はユアに、わずかながら小さく頷いて挨拶した。シンプルな動きだが、彼女がソーシャルなイニシアチブを取るのを俺が初めて見た瞬間だった。
それまでハナゾノと話していたユアは、朝五時のアラームを聞いたかのように、すぐに驚いた。
「え、シオリちゃん! おはよー!」彼女の声は喜びで半ば甲高くなった。
シオリは静かに返した。「……おはよう」
たった一言だが、この部屋には突如として追加の光が灯ったようだった。
小さな鏡で髪を整えていたレイナは、ちらっと見て、薄く微笑んだ。
アオイは、向かい側からただ「わあ……今年一番の奇跡ね」と呟き、それからメモ書きを続けた。
そして、五秒後に入ってきたモリシタは、すぐに口を挟んだ。「うわ! クスノキが話した!? お前は誰だ、本物のシオリをどこに隠したんだ?!」
「モリシタ、黙れ」アイザワが彼の頭に向かって消しゴムを投げた。命中だ。
いつもなら騒がしい教室の雰囲気が、その朝はより軽やかに感じられた。
何かが劇的に変わったからではなく、今までリズムに入ることのなかった誰かが——ついに、自分の拍子を数え始めたからだ。
✦✦✦✦✦✦
最初の授業はいつものように進んだ。
俺は黒板に集中していなかった。俺の視線は、シオリが座っている部屋の右側に釘付けになっていた。彼女はメモを取っている。その動きは滑らかだが、今回はいつものようにうつむき続けるのではなく、時々前を向いていた。
時折、俺たちの視線が合った。反射的に彼女は少しパニックになるが、すぐに顔をそむけることはなかった。ただ、かすかに微笑む。とても速く、ほとんど神経質な反射のようだが、それでも……笑顔だ。
俺は忙しいふりをするためだけに、重要ではないメモを書きつけたが、頭の中では分かっていた。これは小さな瞬間だが、大きな意味を持っている。
✦✦✦✦✦✦
昼休みが来た。ユア、ハナゾノ、レイナはすぐにシオリを引っ張って、自分たちの机で一緒に座らせた。
俺は遠くから見ていた。詮索しているからではなく、その小さな世界がどう適応し始めるのかを知りたかったからだ。
「シオリちゃん、何食べるのが好きなの?」とユアはいつものように元気いっぱいに尋ねた。
シオリは少し考えてから、静かに答えた。「チョコパン」
「わあ! レイナと同じだ!」とハナゾノが笑いながら叫んだ。
レイナは小さく笑った。「ついに私の甘党パートナーができたわ」
向かいの席に座っていたアオイは、淡々とした口調で口を挟んだ。「クスノキはツナサンド派だと思ってたけど」
シオリは首を横に振った。「塩辛すぎる」
アオイは一瞬動きを止め、それから微笑んだ。「なかなか良いセンスしてるじゃない」
ユアは小さく拍手をした。「見てよ! アオイに返事ができた! すごい!」
シオリはうつむき、頬を少し赤らめたが、今回はパニックには見えなかった。彼女はとても繊細で、しかし本物の小さな笑い声を上げた。そして、そのテーブルにいた全員が一緒になって笑った。まるで、彼女たちが長らく演奏してきたハーモニーに、新しい音が一つ加わったかのようだ。
俺は一人でニヤリとした。時々、変化というものは、大きな爆発を必要としない。人混みの真ん中で小さな笑いが一つあれば、世界はもう変わっているのだ。
✦✦✦✦✦✦
午後、最後の授業が終わった後、俺とアイザワはまだ教室に残っていた。モリシタが前の机に座り、ノートに何か絵を描いていた。
「どうやらあんたには、もう説教は必要ないみたいね、サクヤ」と彼は顔を上げずに言った。
「説教?」
「『人の心に触れる方法』とか、何とかいうやつだよ。お前はもうレベルアップしたみたいだ」
俺は鼻を鳴らした。「俺はただ、電気を点けるのを手伝っただけだ。残りは彼女たちが自分で歩き出すんだ」
アイザワは腕を組んだ。「一つ忘れてるわよ」
「何を?」
「暗い部屋で電気が点けられたら、みんな目が覚めるのよ。あんたが起こすつもりがなかった人たちも含めてね」
俺は彼女を見た。「まるで失敗した詩人みたいな言い方だな」
「でも本当でしょ?」彼女はニヤリとした。
✦✦✦✦✦✦
その日の夕方、彼女たち五人——アオイ、ユア、レイナ、ハナゾノ、そしてシオリは一緒に教室を出た。
窓から、学校の前庭にいる彼女たちが見えた。シオリは真ん中に立ち、鞄を腹の前で持っていた。ユアが話しかけ、アオイが時々彼女の腕を肘でつつき、レイナが彼女の髪飾りを直すのを手伝い、ハナゾノは隣を歩きながら何か食べている。
一見、その光景は……普通だった。
ごくありふれたものだ。
しかし、シオリにとっては、それは小さな革命だった。なぜなら、彼女が今まで遠くから観察するだけだったフレームの中に、初めて彼女自身が含まれていたからだ。
俺は外に出なかった。窓から見ているだけで十分だった。時々、最高の勝利は拍手を必要としないものだ。
モリシタが突然、俺の後ろに立った。
「ブラザー」と彼は言った。「認めざるを得ないな、お前もなかなかクールだ」
俺はニヤリとした。「それに気づくのに八章もかかったのか?」
「そうじゃねえ。つまり、お前は変だ。でも、役に立つ変さだ」
「褒め言葉として受け取っておく」
「好きにしろ」彼は立ち去ったが、付け加えた。「な、時々、お前は世界を分かったような口を利く奴みたいに見える。でも違うのは、お前は本当に理解しているってことだ」
俺は小さく笑った。
「いや、俺はただの観察者さ。世界の方が勝手に変わるんだ」
✦✦✦✦✦✦
夕暮れが深まってきた。空は薄いオレンジ色になり始めていた。庭で、シオリが突然立ち止まり、花びらがゆっくりと落ちる桜の木を見つめた。
そよ風が彼女の髪を揺らした。彼女は一瞬目を閉じ、そして再び開いた——微笑んだ。
小さな笑顔だが、正直なものだ。
ユアが隣から叫んだ。「シオリちゃん、一緒に写真撮ろうよ!」
彼女は少し驚いたが、頷いた。
携帯を持っているレイナが位置を調整し、アオイが右隣に立ち、ハナゾノが左隣、ユアはシオリに寄り添いながら真ん中に立った。
カシャ。
クスノキ・シオリが、本当にその中に存在しているように見える最初の写真だ。
その日の夕方、俺は少し遅れて家に帰った。空はもう金色がかった紫色で、携帯の画面には通知が来ていた。ユアがクラスのグループに送った写真だ。クスノキがそこに微笑んでいた。小さく、少しぎこちないが、本物だ。そしてキャプションには、ユアがこう書いていた。「ついに揃ったね ♡」
俺はバス停の前で立ち止まり、昨日彼女が泣いていたのと同じ空を見上げた。違いは、今は空気が軽いことだ。俺はアイザワに短いメッセージを打った。
「ステップ二、完了」
彼女は一分も経たずに返信した。
「あなたは狂ってるわ、でも成功した」
俺はさらに打った。
「まだだ。ステップ三が残っている」
「また何よ、教授?」
「彼女が話すことを恐れないだけでなく、自分自身を信じられるようにすることだ」
「本当に真剣なのね」
「今回は、そうだ」
俺は携帯をしまい、暗くなり始めた空を見上げた。
街灯の光の下で、桜の花びらはまだゆっくりと落ちていた。
世界は変わらないが、もう冷たい感じはしない。その穏やかな夕方の空気の中で、俺は一つのことに気づいた。時々、最大の変化は、他人に立ち向かう勇気からではなく——自分には見られる価値があると信じる勇気から生まれるのだ。
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