夜の精の忍者

ことは

第1話

この世界にはかつて

「影忍者」と「光忍者」がいた

影は、この世界を征服しようと考えている忍者

光は、それを阻止しようとする選ばれたものだけがなれる忍者

一時期影が暴走した時があった

その時に封印しこの世を救った「光」がいた

それから約65年が過ぎた


「行ってきまーす」

家から朝日ライト(あさひ らいと)が自転車を持ちながら出てきた

自転車に乗り坂道を下っていると、他のより一回り大きい石が目の前にあった

「?!」

当然、自転車は坂道では止まらない

空中に身を投げ出された

空中で一回転し、上手いこと着地をしたが

頭上からカバンの中身が降ってきた

それを何とか全て避けたが散乱、、、

「、、、何で俺閉めてなかったんだろ、、、」

そう言いながら散乱した物を片付けていく

「あっ」

途中ふと手を止めて一つの物を見つめるライト

それは、タオル状で包まれている何かだった

(そういや、これ、昔ジィちゃんがくれた物だな、、、

えっと確かーー)

ライトがジィちゃんとの会話を思い出す

「ライト、13歳になったら開けてな」

これを言われたのは約9年前のはずなのにはっきりと覚えていた

(、、、開けるの忘れた、、、

あっ、てか、学校ー!)

大慌てで学校へ向かった


チャイムが鳴り響く学校

猛ダッシュして教室を開けるライト

「、、、ギリギリセーフだな」

先生が呆れながら言った


朝の朝礼が終わると

「おっはよー!

ライト!!」

と綺堂秋蘭(きどう あきら)が勢いよく抱きついてきた

その後ろで

うるさいと言わんばかりの顔で席に座っている倉ヶ崎南(くらがさき みなみ)

「おはよ、二人とも!!

てか秋蘭、朝から元気だな」

「お前もな」

あはははと笑う秋蘭とライトに

呆れ半分で見つめている南

「あ!てかさライト、南

今日漢字のテストだぞ?

勉強してきたのか?」

「もちのろん!!してきたぞ

この通り!!」

「面倒くさい

する気にもならん」

そんなことを話していると

1時間目が始まった

そこから4限目の漢字テストまでの時間はあっという間に終わった

テストはその場でやり、その場で返された


「どうだった?」

秋蘭が給食を食べながら

お弁当を食べているライトに

興奮気味に聞く

「俺は今回、良かった!」

「何点だ?秋蘭」

「70!!ライトは?」

「、、、10、、、」

あっ、、、と言わんばかりの空気に

気まずくなった二人

「ま、まぁ、いいじゃないか

うん、ライトは運動できるしさ

ほら、、、その、、、推薦合格だろ?

そこまで気にしなくてもーー」

「秋蘭、一回考えてみろ」

ライトは続けて言った

「まず、サッカーできるだろ?

必ずゴール決めれて、皆からチヤホヤ褒められ俺も嬉しい

でも、テストはーーゴール決めれず0点

次に、野球できるだろ?

ホームラン、一試合打つ度に何故か毎度出るから褒められる

でも、テストはーーホームラン打ったと思ったらアウトで十五点

最後にテニスできるだろ?

相手コートギリギリのところでボールがバウンドするから

相手が油断した隙に点が入る

だが、テストではーー行きすぎて三十点、、、

悲しくなるよ、、、」

ライトの言葉に秋蘭が慰めようとすると

ふとライトが顔を上げる

「あれ?南は?」

「急に思い出すなー

南なら、転校生の子に学校紹介しているよ

あ、俺、追いかけてくるー!」

そう言い

どこかに行ってしまった

(追いかけようかな)

そう思い行こうとすると

背後で大きい物音が聞こえたのと同時に悲鳴が聞こえた

ライトが後ろを振り返ると

クラスメイトや

よそのクラス教室から来ていた子が何人か倒れていた

その後も次々と倒れていく

「大丈夫?」

「どうするのがいいんだ?」

「保健室!」

「いや、救急車!!」

「110!!」

「それは警察!!」

「心臓マッサージ!!」

「失敗したらどうする?!」

口々に慌てているような声が聞こえる

ライトは大慌てで言う

「救急車呼べ!!」

その数分後

救急車が到着した

見たことのないぐらいの数に皆、圧倒されていた


「えーと言うことで今日は緊急下校だ

早く帰れ」

クラスに戻ってきて即座に言われた


家に帰り荷物を整理整頓していると

タオル状のものが出てきた

「、、、開けるか」

そう言い開封する

中に入っていたのは

「手裏剣、、、?」

ライトは驚きのあまりに固まっていた

そして手裏剣を持ち上げて色々見たり触ったりした

「、、、本物だ」

銀色に光る角の方を見てそう呟いた

すると

「ニャー」

どこからか猫の声が聞こえてきた

顔を上げるといつの間にか開いていた窓に1匹の猫がいた

「コラコラ、危ないじゃないか」

ライトが近づいて猫を下ろそうとした瞬間

猫がライトの手に噛み付いた

「いっ!」

手を押さえベットに座るライトの目の前に猫が着地する

そして、猫を見ていると

猫が何かを加えて出て行った

「あの猫なんだったんだ、、、」

そう言い机の上を見ると

「あれ?手裏剣がない!!」

ふと先ほどの猫が何か加えていたのを思い出し

慌てて猫を追いかけるように家を飛び出した


「まてー!」

先ほどの猫を何とか見つけて追いかけるライト

一方猫は反射神経が良いのか

ライトの手を全て避ける

何時間経ったのだろうか

ついに行き止まりで追いついたライト

「も、もう逃げられないぞ

大人しく捕まれ!!」

ライトがそう言い

倒れるように猫を捕まえようとする

すると、猫は上手いことそれを交わしたのと同時に

ライトは誰かの胸元へダイビングした

目の前が家だったらしく家主だった

「す、すみません!!」

慌てて謝り顔を上げると

ライトは驚いていた

何故ならそこに立っていたのは

「ジィちゃん?」

亡くなったはずのライトの祖父

朝日 ぬべ(あさひ ぬべ)だった


「ここはどこ?

俺は誰??」

「とぼけたことを言うではないぞ

ライト

ここは大正時代じゃ」

ライトがポカンとしていると

ぬべが先ほどの猫に話しかける

「てかお主、そこまでしなくても良かったのでは?」

「こうでもしないと

あいつ、ついて来んだろ?」

「ね、猫が喋った?!」

「猫じゃねー!

精霊だ!!」

ライトの反応に怒る精霊

「あ、てか、炎(ほのお)、

ライトには説明したのか?」

「説明してない」

「何の説明だ???

てか、お前の名前

炎なのか?」

何一つ理解してないライトに

炎と呼ばれていた精霊が答える

「炎は名前ではない

あくまでも炎の精霊だからそう呼ばれているだけだ」

「ヘェ〜」

「とりあえず、説明するな」

精霊がいう

「お前には

光忍者の後継者になってもらいたい」

「光忍者?」

「光忍者とは

光の血を持つ物たちのこと

でもなれる人が限られている

それにお前は選ばれた1人だ

そして、影忍者を倒し、この世界を救って欲しい」

「お、俺が光、、、」

ライトは正直驚いていた

でも何故か なりたい

その気持ちがあった

「ライト、帰った方が良いのでは?」

ぬべが言う

「え、もうそんな時間?!

まだ明るいけど、、、」

「この世界の時間の進み方が遅い

今だとライトの世界では20時だ」

「えっ!帰らないと!!」

ライトは慌てて帰る準備をして帰ろうとする

「話、まだ終わってないからまたこいよ」

精霊が言うと

「何言ってんじゃ?

お主も行くのじゃぞ?」

ぬべの言葉に

「は?えっ?」

という精霊

結局、精霊は押し出されライトと一緒に大正時代から出た


「もう少し教えてくれよ、ひなた」

「いいけど、、、ひなたとは?」

ライトの言った言葉に疑問に思う精霊にライトは言った

「ひなたは俺がお前につけたい名前

炎っぽさもあっていいだろ?

あ、でも嫌なら嫌でいい我慢してこの名前にする必要ないから」

ライトは言いながらチラッと精霊の方を見る

「、、、ひなた、、、俺の名前、、、」

精霊は少し目を輝かせながらそう言った

次の瞬間

「ライト!!」

急に精霊に突き飛ばされ驚いているライト 

ライトの真横にクナイが突き刺さる

「えっ?」

驚きながらも立ち上がるライト

その向かいには

何人も光を失っている人がいた

「ライト、急に突き飛ばしてごめん、

あいつらが影忍者だ

きっと、ライトが光というのを知って来たんだな」

ライトの前にいる精霊が言った

ライトは状況を把握できないまま後退りをしている

「いいかライト、逃げろ

お前が狙われている」

「捕まったらどうなるんだ」

「おそらく殺されるだろう、、、」

「、、、てか、君はどうするの?」

「俺はこいつらをやってから行く」

「で、でも、、」

「心配するな

後で追いかけるからさ」

精霊が言った瞬間

一斉に影が襲いかかってきた

ライトは無我夢中で走る

が、石につま付き転けた

振り返ると影が歩いてライトに迫っていた

座り込みながらも後退りしているライト

影は段々足を早くさせ勢いよくクナイを持ってライトに襲いかかる

もうダメだと諦めた瞬間

影の胸にクナイが刺さり目の前から影がいなくなる

「大丈夫か、ライト」

よく見るとイケメンの少年が立っていた

その後に手を貸してもらい立ち上がると

すでに影に囲まれていた

「ライト、逃げ道は俺がつくる

お前は自分家に逃げろ」

少年にそう言われた

「君は、、、」

ライトが言う前に影がもう一度一斉に襲いかかってきた

金属同士のぶつかり合う音、火花が飛び散る中

ようやくの思いで抜き出し家に向かって逃げる

家にたどり着くと玄関にお母さんがいた

ライトが慌てて帰って来たのを見て驚きながらお母さんが言う

「ライト、こんな時間まで何していたの?」

「か、母さん、、、せ、説明は後でするから早く家に入って、、、」

いつも以上に走ったせいだろう

ライトはその場で意識を失った


眩しい朝日に照らされライトは起きた

ベットの上から自分の部屋を見渡し一言

「、、、夢か」

と呟いた

「夢じゃないぞ?ライト」

急に頭上から声が聞こえ驚くライト

そこには昨日の少年がいた

「君は確か、、、昨日助けてくれた子だよな?

ありがとう」

「怪我がなくてよかった」

「てか、君は誰?

何で俺の名前を知っているの?」

「あーそれは、、、」

しばらく少年は考えたのち何か諦めたかのようにため息をついて言う

「俺は、猫と勘違いされた精霊だ」

そう言う精霊(?)にライトは驚き半分嬉し半分の顔をしていた

「生きていた

よかった

てか、その姿どうした?

めっちゃイケメンになっているんだが、、、」

「この姿は、人間に化けたときの姿だ

普段は猫の姿で暮らしているんだが

昨日、影に呪いをかけられたのか姿が元に戻れないんだ」

「そうなのかーー」

「キャー!」

ライトが喋っていた途中で下の方から誰かの悲鳴が聞こえた

「なんだ?!」

「ねぇちゃんの声だ!」

ライトとひなたは急いで階段を降りて

ライトの姉である志帆がいるであろうのリビングへと向かう

そこにいたのは

志帆はもちろん、影もいた

影は座り込んでいる志帆に少しずつ近づいている

「ねぇちゃん!!」

ライトは咄嗟に姉の前にでた

「ライト!

ダメよ、危ない

逃げて!」

影は最初から志帆をターゲットにしていなかったのか

ライトの方を見て、にんまりしている

「ライト、これを!!」

精霊がそう言い

少し離れたライトにある物を投げ渡した

それをライトは上手いことにキャッチし聞く

「これは?」

「それは、変身コンパクトだ

光の中でもさらに選ばれた者しか扱えない

使い方は俺が教える」

「分かった」

ライトは了承するのと同時に不安も感じていた

(本当にこんな俺がなれるのかな、)

「精霊の力を使って戦うんだ」

精霊が言う

「分かった」

そう言い戸惑いながらもライトは言った

「炎の精霊よ、我に力を!」

「え、俺?!」

精霊が驚いたような声を出すが

「まぁ、いっか」

と言った


「炎の光、ライト

、、、って、これ俺?!」

着物のような服に炎みたいな模様が散りばめられていて

黒い髪は赤く染まっている

「ん、で、どうすればいいんだ?」

「とりあえず、炎の剣を出せ!!」

「出せって、、、どうやって?!」

「そんなの、適当に言え!!」

「はぁー?!」

ライトはしばらく考えて

「忍法、炎の剣の術!!」

と唱えた

すると、手裏剣がみるみるうちに

炎を纏う剣になっていった

「うわあ?!

す、すごい、、、

ん、で、この後は?」

「影の胸を切れ!!」

「わかった!!」

影が警戒し後ろに飛ぶ

そして飛びかかってきた

攻撃をなんとか交しながら隙を見つけ

影の胸に剣を刺す

影はふわっと光に包まれて目の前から消えた

「た、倒せた、、、」

「攻撃を全て交わすとは凄いな」

疲れているライトの横で感心している精霊

「ライト、さっきのは一体なんなの!!

説明して!!」

と隣から大声で志帆が言う

「ね、ねぇちゃん

これはその、、、」

と下手くそなりにも説明をし

志帆は納得する

「反対とかしない?」

「しないよ

でも、条件がある」

「?」

「死なないで

ただ、これだけよ」

志帆はそう言い残し自分の家へと帰った

志帆を見送った後、ライトは精霊の方へ振り向き言う

「お前はどうするの?」

「お前の契約受け取ってしまったからな

相棒にでもなる」

苦笑いするライトに精霊は続けて言う

「しかも、お前じゃない

ひなただ」

それを聞いたライトは目を見開いた後微笑み、言った

「これからよろしくな

ひなた」

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夜の精の忍者 ことは @Kotoha_01F

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