冷蔵庫の前でただいまと言うまでの7日間

ゆい

1日目

 久々に帰った実家は、どことなく陰気で、薄暗く感じられた。

 玄関で僕を迎えてくれた母の姿は、記憶の中の母よりずいぶんとやつれている。

 無理もない。弟が姿を消したのだから。

 その報せを受けたのは、失踪から三日後のことだった。

 電話越しに聞こえた母の涙声に、僕は思わず怒鳴りつけそうになった。

 ――なぜ、そんな大切なことをすぐ知らせてくれなかったんだ。

 けれど今、こうして母を目の前にすると、怒りはすぐにしぼんだ。

 弟を失った痛みを、誰よりも深く抱えていたのは母だったのだ。

 僕はそっと、母の背を撫でた。

 肉の薄い、扱けた背だった。

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