オガミ部の活動日誌

七海 司

第1話 呪われた男

 三珠学園では誰でも人を呪うことができる。

 冗談のようなキャッチコピー。けれども、左手に浮かび上がった青と赤の寄生虫のような刻印を見ると笑えなかった。

 どうやら、誰かの怨みを買ったらしい。

 誰が何のために? 俺は何かしたのか。心がざわつき、焦りだけが降り積もっていく。

 授業に集中できない。パラパラと意味もなく教科書のページを捲る。

 ふわりと窓から秋風が入り、芳香を運んできた。紗奈が好んで使う制汗剤のようだと思い、ふと紗奈のことが気になってしまう。

 チラリと後ろを振り向くと紗奈が愛くるしく微笑みながら、「前を向け」と指差してくる。

 突如、腹痛に襲われた。内臓を鷲掴みにして捻られるようなギリギリとした痛みが声を奪う。

「先生 柾君が!」

 保健委員の凪さんが先生に知らせ、保健室まで肩を貸してくれた。

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