盛岡市神隠し現象事件
壊れたガラスペン
第1話 JATOA:白石観測員
ここは岩手県盛岡市。岩手県の県庁所在地でもあり中核市に指定されている。
盛岡市役所の一室にて、とある事件の会議が開かれていた。複数のテーブルが並べられ、その上に三角席札とペットボトル飲料、筆記用具、そして本議題である書類が置かれている。
教育委員会の代表の男が挙手し、発言する。
「盛岡市において、ここ数週間、原因不明の児童失踪が相次いでいます。詳細は手元の資料に書いてありますが、そのペースが増大傾向にあります。
私は手元の資料にざっくりと目を通す。不自然に始まった児童失踪。原因はわからないのだが、間違いなく、そうなのだ。
私はペットボトル飲料を手に取り開栓し、一口飲んだ。
「
何からの存在。まだ、確定していない存在だ。妖怪なのか、幽霊なのか、それとも別時間軸の存在なのか。どちらにせよ、早期解決が望ましいことに変わりはない。
コトンっと開栓したペットボトル飲料を置く。小さく中身が揺れる。
「市役所としては、現在どのような対策を検討しておりますか?」
そう市役所の事務方に問うてみる。彼らは慌てて書類を探しているようだ。その様子は役所機能がすでに停滞している様を表しているように見える。
「市役所としては、岩手県警察本部地域部異常予防隊に巡回数を増やしてもらう。そして可能な限りの親御さんに同行してもらうなどを検討しています」
こんなんでは対策にはならないだろう。市役所もわかっているはずだろうに。岩手県警察本部地域部異常予防隊はそこまで活躍できるだろうか。
……そもそもこの会議に意味などないだろう。ここで話すことは無意味だ。教育委員会も市役所も、なんなら県単位でも、この事案には対処できないだろう。私にはそんな気がする。
「
被害は防げない。ただしこれ以上の拡大はさせない。そのつもりだ。
とりあえず、内政省 超常公安局や文教労務省 大臣官房 超常教育課などにも頼ることになるだろう。児童の失踪と関係のありそうな部署を脳内でピックアップしていく。
目の前では無意味な議論が続けられていく。教育委員会も市役所も、彼らにはすでに対処できない。地方行政では手に負えないほどに大きくなってしまった。彼らの怠慢が招いた結果か、それとも必然か。
私は再度ペットボトル飲料を手に取り一口飲んだ。
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