異世界転生でTSした美少女魔法使いに、勇者として召喚された「高校生の頃の自分自身」がガチ恋するこの設定の捻れ方がシンプルに面白い。自分を好きになった自分、という入れ子構造が、ラブコメの皮を被ったアイデンティティの混乱として機能している。
さらに勇者が死ねばリリアナの存在も連鎖的に消えるという危機が、ギャグの軽さとシリアスな緊張感を同時に成立させている。「TSした。美少女になった。ガチ恋された。そこまでならよかった」という概要の温度感が、作品全体のテンポの良さを予感させる。
過去の自分と現在の自分が、別人として向き合うという奇妙さその一点だけでも読む価値がある一作。