第2話 プロローグ:神社での出会い その二
「なんなんだ、あの子は…。転校生っていうか、まるで歴史の先生みたいだったな。でも、ちょっと気になっちゃうな…」
僕はモヤモヤしながら、残されたゲーム機を拾い上げ、さっきのゲームの続きをしていた。日が傾き始め、住宅街の細い路地裏を通り抜けた。実家に戻ろうとした、そのときだった。
路地の奥、古びた倉庫のシャッターの前に、突然空間がねじ曲がったような「黒い渦」が出現した。
それは、まるで黒い墨汁を水に垂らしたように、周囲の光を飲み込みながら広がる、直径二メートルほどのポータル。僕が今まで見てきたSF映画のような、現実感のない光景だった。
ドォン! ――空気そのものが震えるような重い音。
黒い渦のようなものの中から、黒いフード付きのマントを羽織り、顔を冷たい金属の仮面で覆った三人の人物が飛び出してきた。彼らは明らかに人間ではない異様な気配をまとっている。
「目標、発見! 神結びの腕輪の後継者を見つけ次第、捕らえろ!」
彼らのうちの一人が、僕に向かって指をさした。僕は、自分の腕に嵌めっぱなしだった、父さんが「絶対に外すな」と言っていた古びた銀色の腕輪を指していることに気づいた。
次の瞬間、三人の人物は手に持った黒い、禍々しい紋様のカードを宙に放った。
「ゴッドリリース!SR (エスアール)! 狼神 バイトウルフ!」
カードは光を放ち、邪悪な瘴気をまとった巨大で獰猛な二頭のオオカミの影へと姿を変えた――。
僕の平凡な日常は、このとき、唐突に終わりを告げたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます