第4話 とある実技授業で
ある実技授業の時である。すっかり体裁を保つことをまるで拒否したかのようになった教師エミールが
「勇者は魔法使いではないから、やたらめったらに使える訳じゃねえから」
と実技前に整列している生徒たちの前で藪から棒に言ったのも、ユカブキへのフォローだったのかもしれない。
ただ、その授業の終わり際、やはり整列している中で、ユカブキをちらりと見てから、
「よくもまあ、名は体を表すように育ったもんだ」
と嘆くように言った。
「先生、それはどういう意味でしょうか? ユカブキを侮辱する意図でしたら」
即座に教師へ問うたのはユカブキ本人ではなく、同じ専科のクゥエルorゼッターだった。
「いや、むしろ感心してる方だ」
「どういうことでしょうか?」
落ち着きを無くすのはユカブキばかりではない。生徒たちがエミールが何を言いたいかくみ取れずに戸惑っている。
「なにせ、カブキってのは、古の言語だと風変わりな者って意味なんだぜ。ユカブキに合ってると思わないか」
一同のざわめきは疑義ではなかった。むしろ、博識たる教師への感心とユカブキへの同情みたいな感情が混ざり合ったものだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます