この作品は全てAIで書かれています

アカバコウヨウ

第1話 アニメ化決定!!

 時は昼過ぎ。

 場所は秋葉原のとあるカード販売店。


「おいブス、邪魔だどけよ!!」


「じ、順番が……」


 ドンッ!


 と、私は突き飛ばされ順番待ちの列から弾き出されてしまう。

 すぐに係りの人に説明して、列に戻してもらおうとするが。


「あ、あぅ……」


 この神田なつき。

 幼稚園から高校現在に至るまで『根暗女』の異名で通っているのだ。

 当然、しっかりと事態を説明できるわけもなく。


「なに? ダメだよ横入りは! ほら、ちゃんと最後尾から並んで!」


「う、うぅぅ……」


 今日は人気カードゲーム『テンバイモンスターズ』の新しいパックの発売日。

 普段引きこもりの私が頑張って出てきたのだ。

 ここで負けるわけにはいかない。

 きっと今から並び直しても買えるはずだ。


 私は係の人に相談することを早々に諦め、再度最後尾に並び直す。



 そして十数分後。

 戦利品ゼロで帰りの電車に乗っている私がいた。

 そう、テンバイモンスターズのカードゲーム……テンカは買えなかった。

 なんなら、私の目の前で売り切れた。


「う……っ」


 もしあの時、割り込んできた男に何か言い返していたら未来は変わっていたのか。

 あの係の人にしっかり説明出来ていたら……。

 どうして、どうして私っていつもこうなんだろう。


「うぅ、ぐす….. っ」


 私はそんなことを考えながら、電車の窓に写っている自分を見つめる。


 赤茶色のくしゃっとした髪が特に手入れした様子もなく肩の当たりまで伸びている。

 そして、雑誌から丸パクリした白いワンピースにジージャンを羽織ったコーデ。


 髪型で手入れした様子もなく。

 と言ったのは、客観的に見てそうだからだ。

 実際はしまくっている。

 剛毛すぎてストパかけまくってもクシャッとしてしまうのだ。


 服に関しては単純にセンスがないから、雑誌をパクるしかないのだ。


「なんで私ってこうなんだろう……」


 今まで彼氏彼女なんて当然ゼロ。

 友達もゼロ。

 影薄すぎてイジメに遭遇したことがないのが唯一の救い。

 休み時間に席取られちゃって、トイレでお弁当食べたことは何度もあるけど……。


 こんな私がどうして完全なメンタルブレイクに陥らず、今日までやって来れたのか。


「……」


 私にはたった一つ。

 他人に誇れることがあるのだ。

 これだけは負けたくないと、他人に真似できないと。

 そう誇れるものが。


 そんなことを考えながら、漠然と外の風景を見ていると。

 ビルの大きなスクリーンに映し出されている映像が見えてくる。


 その映像はよくあるweb原作のアニメだ。

 異世界から日本に転移した主人公の魔王が、配下のゴブリンと共に日本を征服するというもの。

 

 よくある異世界転移ものだ。

 しかし、めっちゃエッチだ。

 もうこの上ないほどエッチだ。


 そしたらこの原作。

 クソ売れた。


 売れに売れまくった結果。

 コミカライズからアニメ化までとんとん拍子。

 あのCMはそのアニメ化のCMというわけだ。


 人類は所詮エロには勝てない。


 私がこの人生で学んだことは間違いではなかったのだ。

 そう、何を隠そうあの作品。


『ゴブリンと一緒に日本に転移した俺、可愛い女をとっ捕まえてズッコンバッコン』は私が原作者なのだ。


「あ、ゴブコンのCMやってる!」


「マジだ! 俺アレ好きなんだよな!」


「あれふざけたタイトルの割に、結構真面目なシーンもあるよな」


「わかる。エロいところはエロいけど、この前の総理大臣との対談シーンとかクソ真面目だったもんな」


 と、背後から聞こえてくる声。

 正直言おう。


「うぅ……ぐすっ」


 私は感動で泣いた。

 テンカ買えなかったことなど吹き飛んだ。

 私にしか書けない唯一の作品が、読者を喜ばせることができている。

 この事実が私のアイデンティティを保ってくれる。

 私が生きていていいのだと、まるで神が告げているよな気がする。


「あ、ありがどうございばずぅううう〜〜〜っ」


「な、なあ……なんかあの女の子やばくね?」


「あ、あぁ……車両移るべ」



 さてさて。

 時と場所は移って夕食後の自宅、リビング。

 私は1人寂しくソファーに座り、お気に入りのアニメを何度目かのリピート再生していた。


 このアニメはすごいのだ。

 兄弟の近親相姦ものという、中々のハードなやつを——。


 ピーンポーン。


「?」


 誰だろう。

 通販でなんか頼んだかな。

 正直、買ってもダンボールから出してないものだらけで、何が届いて何が届いていないのかわからない。


 ピーンポーン。

 ピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーン。


「ひ、ひぇ!?」


 え、誰?

 両親は私が中学の頃に合体しすぎによって幸せそうに他界しちゃったし。

 おばぁちゃんは渡り廊下で繋がった後ろの家に篭りっぱなしだし。


 こんな時間に私の家のチャイムを鳴らしまくる間柄の人なんて——。


 ダン!

 ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダダンダンダンダンダンダンダンダンダン!!


「ひ、ひぃいいいいい!!」


 事案だ。

 これ絶対にやばいやつだ。

 警察!?

 警察に電話しないと!!


 私は即座にソファから立ち上がり、電話へとダッシュ。

 受話器を持ち上げた。

 まさにその瞬間。


「居るんでしょ? 家にいるのはわかってる……」


 と、聞こえてくるのはそれはそれは氷のように冷たい女性の声。


 そう。

 ここで大事なのは女性の声ということだ。

 しかもアニメ声でかなり可愛いのが容易にわかる。


「私の全てが告げている」


 今玄関に行き、扉を開けなければ後悔する。

 私は根暗だがオタクなのだ。

 今でもギャルゲ的出会いは信じてるし、毎朝目を開けたら目の前に美少女がなんて妄想してる。


 出会いが欲しい。


 私はその一心で玄関へとダッシュ。

 一握りの勇気を持って、扉を開いて——。


「お前……この作品、全てAIで書きましたね?」


 目の前に居たのは黒く美しい長髪の女の子。

 私と同じ高校の制服に身を包んだ彼女は慎ましやかな胸と、私以上の低身長でこちらをジトっと見つめ言ってくるのだった。


「全てAIで書かれた作品なのに、自分で書いたと偽って受賞しましたね?」




——————————————————

あとがき


初めましての方、商業で知ってくれた方

どうも、作者のアカバコウヨウです。


もしも続きが気になったり、面白かった!

と、思ってくれた方が居ましたら

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よろしくお願いいたします!


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