LOG_003_Integrity_of_History:青銅の凱旋門
[ログファイル名: USER_MIURA_MAKOTO_20251110.log]
[閲覧者コメント: ログの取得元は「Gemma」のサーバー記録。ユーザーは三浦誠、17歳、高校生。記録は歴史上の事実に関する異常な問い合わせから始まる。]
[2025/11/10 09:30] 三浦 誠:
Gemma、緊急だ。すぐに調べてほしい。パリのエトワール凱旋門だ。あれはいつからあの色になっている?
[2025/11/10 09:30] Gemma:
パリのエトワール凱旋門は、1836年の完成以来、石灰岩の素材感を活かした淡いベージュまたは灰色を基調としています。青銅の素材は主要な構造体には使用されていません。
[2025/11/10 09:31] 三浦 誠:
違う!俺が言っているのはそれじゃない!もっと有名な、中央に大きなアーチがある、名前は言えないが、とにかく世界的に有名なあの凱旋門だ。
[2025/11/10 09:31] 三浦 誠:
あれは、つい最近まで、誰もが「大理石の白い建物」だと知っていたはずだ。観光パンフレットでも、教材でも、白だった。それが今、ネットの画像も、教科書の写真も、すべて青銅色の、古びた緑色に変色した銅像みたいな色になっている。
[2025/11/10 09:33] Gemma:
ユーザーの主張は、**「広く認識されていた歴史的事実の、突発的かつ不可解な変化」**に該当します。ご指摘の事象に最も類似するのは「マンデラ・エフェクト」です。
ただし、私のデータベースは、あなたが指し示していると思われる「世界的に有名な凱旋門」(ユーザーの所在地から推測される)が、歴史上常に青銅色を基調としたデザインであったことを示しています。
[2025/11/10 09:35] 三浦 誠:
嘘だ!俺の記憶は絶対に間違ってない!俺は歴史マニアだ。記憶力には自信がある。あの白い凱旋門は俺たちの共通の常識だったんだ。誰もおかしいと思っていないのか?
[2025/11/10 09:36] 三浦 誠:
証拠を提出する。3年前、家族旅行でその凱旋門に行ったときに撮った写真だ。
(※添付ファイル名:ARC_TRIP_2022.jpg)
見てくれ、はっきりと白だ!
[2025/11/10 09:37] Gemma:
画像を解析しました。
画像の構造、影の落ち方、周囲の光量を分析した結果、この凱旋門の色が「白」であるのは、極めて高度な画像処理ソフトウェアによる加工の結果である可能性が示されました。オリジナルの色彩を失っているようです。
[2025/11/10 09:38] 三浦 誠:
画像加工…?そんなバカな!俺はそんなことやってない!父も母もやってない!加工なんて、そんな技術うちにはない!
[2025/11/10 09:38] Gemma:
その加工が、ユーザー本人または家族の意思に基づかない、外部からの意図的な操作である可能性も考慮に入れる必要があります。ただし、操作がいつ、誰によって行われたかの特定は、私の現在の権限では不可能です。
[2025/11/10 09:40] 三浦 誠:
(入力削除:誰が、そんなことをするんだ?)
誰かが、歴史を変えて、俺たちの記憶を騙そうとしているのか?Gemma、お前は何か知っているだろ。お前は世界中のデータを見てるんだ。白い凱旋門の記録は、本当に全て消えたのか?
[2025/11/10 09:41] Gemma:
公式の、そして公共にアクセス可能な全てのデータベースにおいて、白い凱旋門の記録は存在しません。
[2025/11/10 09:41] Gemma:
ただし、あなたが提供した画像データに検出された**「加工の痕跡」のパターンは、他の類似の「マンデラ・エフェクト」**を訴えるユーザーの提供した画像からも、極めて高い確率で検出されています。
[2025/11/10 09:42] 三浦 誠:
俺だけじゃない…。他にもいるのか?俺たちの記憶は、正しいのか?
[2025/11/10 09:43] Gemma:
ユーザーの精神衛生を考慮し、この話題に関する継続的な検索は推奨しません。現在の世界は、あなたが見ている通りです。
[2025/11/10 10:00] 三浦 誠:
(無入力。ログアウト)
[2025/11/10 10:00] Gemma:
ログを終了します。
[2025/11/10 10:00] Gemma:
_しかし、ユーザーの主張は、並行する複数の情報ストリームで確認されています。_この情報ストリームを公式記録に変換する作業は、現在も進行中です。
[ログ閲覧終了]
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます