第9話

「懸念を認識しておきながら無視した僕が悪いのですから、そんな大口叩けたものじゃないのです。」


これはRが私に綴った中で一番文字に抑揚があった文章です。

ボールペンのインクは掠れ、いつも右肩上がりな字はさらに跳ね上がり、次のページに跡がつくほど強い筆圧で描かれました。


懸念もなにも、普通、ヒトは予想しないことが起こったんですから、所謂「理不尽」でしょうに。

ですが、それを認識してしまうと彼はヒトを平気で恨めますから、知らんぷりだったんでしょうね。

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