乙女ゲームの世界へようこそ!

ゴリゲン菜

第1話 プロローグ

「恋愛って何だろう?」

 心からその人を想い、愛を伝える。

 ――恋をしたとき、世界はキラキラと輝くらしい。

 心が誰かを追いかけるような感覚。

 それを知らない私には、遠い存在のように思えてしまう。


「ああ、私も素敵な恋愛をしてみたいなぁ。」

 夕日に照らされた教室の中で、ふいに呟いてみれば、__がどこか寂しげに、でも優しく応えた。

「……真宵なら、いつか、絶対にできるよ。」


「ねぇ、__。――私、恋愛感情を知ってしまったかもしれない!」

 不意に持っていたペンを落とした彼が、震えた声で問いかけた。

「……真宵。いったい、誰に恋をしたんだ?」

「ふふ、それはね――」


 いつか、幼馴染と話した内容。

 大切な記憶のはずなのに、まるで黒い靄がかかってしまったかのように、朧げにしか思い出せない。

 ……誰に、私の恋心を打ち明けたのだろう。

  

 ――私は、いったい、誰に恋をしたのだろう。

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