にゃる日の日記

@satoka2

にゃる日の日記

今日は日が差している。

少し風が冷たいがどって事はない。


寝相が悪かったのか、腰が痛い。

大きな伸びをしたら同時にあくびがもれた。

退屈だな。気晴らしに外に出てみよう。

いつもの散歩コースをゆく。


途中、通りかかった老夫婦が

何やら笑顔で話しかけてきた。

よく聞こえないが

今日もご飯をくれるみたい。

俺を孫か何かと勘違いしてるのか?

とりあえず愛想笑いで

その場をやり過ごした。

世渡りは心得ている。


ツルの絡む電信柱を曲がる。

少しワクワク、そわそわしながら。


なぜって?


あの子の家の近くだから。

ひょっとしたら会えるかも。

なんて淡い期待を胸に姿勢を正しはじめる。


曲がってしばらくすると

白い彼女らしき影を発見!


むむ、あれは、、、彼女だ!

もはや雰囲気でわかるレベルで

恋しちゃっているのです。


今日こそは挨拶とか会話とか

何かコミュニケーション的な事ができないか。。。


——汗かいてきちゃった。

そうです。

片思いなんです。どうしようもなく。


あぁ、

あと10メートル。


  5メートル。


———1メートル。

ああぁ!心臓がうるさい。


い、いまだ!



——「おっ、おはにょ、ぉ」




————頑張った!遂にやった!

これは歴史的にみても大快挙。

拍手喝采必至の偉業である。


さりげなさすぎる。紳士的すぎる。


そして少し噛むというユーモアまで添えて。

フレンチでいうところの

ムース・ド・アムールのそよ風仕立て。

的な、もはや具材無視の

自己満料理名くらいユーモラス。

次、彼女に会う時のリアクションが

楽しみで仕方ない。

きっとその大きな黒目は

ハート型に変わっちゃってる。

俺も罪深い。


そんな大仕事をやってのけ

充実感と高揚感が入り混じる中

お気に入りの公園へとやってきた。


あの木漏れ日が差し込む

穴開きの土管が俺の指定席だ。


ん、、、


——んっん⁉︎


そこには、

他の猫のフンが申し訳なさそうに

コチラを見上げていた。


さっきまでのあの気持ち。


幸福感。


水に流されるように流れ出す。




あぁー。

にゃんて日にゃ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

にゃる日の日記 @satoka2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る