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あれからちょうど1年が過ぎた。
やけに照明が明るい例のバーで、おれとるみかさんは久しぶりに会った。
まちはすでに平穏に倦んでいた。その日もベイスターズはジャイアンツに大敗した。
るみかさんはおれに打ち明けた。
「あの日、集であの子は私に謝ったの。私も謝った。私も弟も泣いてたな」
あの日、るみかさんは早咲を弟として信じて、おれはあいつを友人として信じていた。
「でも、その後にあんなことをしたんだよね、多分」
外では風が激しく吹いていた。南風が店の窓をくぐもった音とともに揺らしている。
別れ際、毎年、8月31日の夜に会おうと、おれとるみかさんは約束した。
ふたりの決意が揺るがないよう、意志を確認しあうために落ち合おうと考えたからだ。
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