17

 あれからちょうど1年が過ぎた。

 やけに照明が明るい例のバーで、おれとるみかさんは久しぶりに会った。

 まちはすでに平穏に倦んでいた。その日もベイスターズはジャイアンツに大敗した。

 るみかさんはおれに打ち明けた。

「あの日、集であの子は私に謝ったの。私も謝った。私も弟も泣いてたな」

 あの日、るみかさんは早咲を弟として信じて、おれはあいつを友人として信じていた。

「でも、その後にあんなことをしたんだよね、多分」

 外では風が激しく吹いていた。南風が店の窓をくぐもった音とともに揺らしている。


 別れ際、毎年、8月31日の夜に会おうと、おれとるみかさんは約束した。

 ふたりの決意が揺るがないよう、意志を確認しあうために落ち合おうと考えたからだ。

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