第6話 頼り切り

「課長、いつ頃、体が空きそうですか?僕は、いつでもいいんですけど。」

「ごめん。仕事と家庭がいろいろあってなかなか都合がつかなくて。」

 言葉では、そう言ってたけれどれ、さすがに部下の2人で飲みに行くのは、課長としても人妻としてもまずい、と思って誘いをはぐらかしていた。

 

「ママ、湘南台受けるんだったら、新しい塾にもう一つ行かなきゃだめだと思うんだ。行ってもいい?」

「どこに?」

「江の島ゼミナール。湘南台受けるんだったら、絶対通いたいのお願い?」

「う~ん。」

 金銭面は、大丈夫だけれど、送り迎えができるかどうか・・。でも、湘南台を押したのは私だし・・・。恐る恐る月斗に相談した。

「ねえ。華奈が江の島ゼミに行きたいって言ってるんだけど。」

「通えるのかい?」

「大丈夫、行くのは学校帰りに電車で行くから。帰りに駅まで迎えに来てくれる?」

「パパとママの仕事の都合だと難しいかな・・。」

 確かに、営業職の夫婦だから早く帰った方が、夕食や小学生の凛斗の世話をしている。大概は月斗がやってくれている。そこに、迎えは厳しい。

「ママがなるべく迎えに行く!」

「ママありがとう。やったぁ。私がんばるから!」

「大丈夫なのかい?」

 月斗は心配そうに私を見た。

「うん。なんとかする。サポートしてくれる部下もいるし。」

「無理しないんだよ。僕も行けるから。」

「ありがとう。」


 しばらくして華奈の迎えが始まった。

(ああ、もう時間だ。終わらない。でも、明日得意先にださなきゃ。)

「課長、何かありました?時間、気にしてるみたいですけど。」

 佐伯君が声をかけてきた。

「娘の塾の迎えが合って、時間が・・」

「ああ、あの優秀な娘さんですね。お任せください。もし残務ありましたら、引継ぎます。」

「ごめん、このリース見積もり明日まで上げてくれる。朝、見るから。」

「分かりました。行ってください。」

「うん。」

 そんなことが続いて、私は、佐伯君に頼りっぱなしになっていった。


 湘南台に進学させるという自分の考えが間違っていない、と月斗に対して意地になっていた。

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