47.ウォーカーの寄り合い所に行ってみよう!
【サイン視点】
遊びに来た鍵屋とミツガレ…アミューと共にミートゾーン付近にある寄り合い所に行くことになった。アミューが冷凍肉売ってみたいとのこと。鍵屋とミツガレは車で俺は…
「この姿のがサインを乗せやすい!」
ラプトル?と呼ばれる姿のアミューに跨っていた…
もちろん外に出るので俺は最低限の、いつもの装備は着けている。
「あら、かっこいいじゃない」
「黒いパワーアーマーのおかけで物語に出てくる悪役みたいですよ」
「褒めてんのか鍵屋のそれ…」
いや待て、悪役姿なら何故か絡まれやすい俺が、この状態で出歩けばそんなことも無くなるのでは…ダメだ。何もしてないのに賞金首になる未来しか見えない。
「じゃ、私は姿消すね!」
アミューがラプトル姿のまま薄くなり消えた。消えたと言っても乗ってる俺は消えないので空中に跨ってる形のまま浮いてる状態になった。
「…プッ!アッヒャッヒャッヒャッ…」
ミツガレが大爆笑してやがる…許さん。
「ま、まあ、光学迷彩付きのバイクに乗ってるように見えなくもないかも?」
鍵屋も笑いを堪えてやがる許さん。
俺も光学迷彩付けるかぁ?
でも前線だと意味ないんだよなぁ。
人間も兵器も見破ってくるし…
雑魚戦にしか使えないくせに値段も無駄にたけぇし…
「ふぅ、まあ近場に着くまではこのままで行くか…」
「わかった!」
「じゃあちゃんと着いてきてくださいよ?」
鍵屋の車が発進する。俺の体も水平に移動する。前回ので慣れたよ…
車を止め俺もアミューから降り、アミューは人間の姿になって…
「これでどうかな?」
「おー…ギリ人間っぽい?」
「どうなんでしょう?」
「尻尾のあるとこの砂煙凄いわよ?少し浮かせたほうが良さそうね」
アミューは尻尾だけを透明化させることを覚えた▼
服を着てても肌の鱗が目立つけど…まあ、大丈夫だろう。
あと尻尾の都合とはいえ外でスカートて…めちゃお尻の方浮いてますよ?
じゃあ早速行きましょうか!
俺達はミートゾーンの寄り合い所に入る!
「「「何しに来たんだテメーー!!!!」」」
早速大勢に絡まれた。
アミュー、カモフラージュの効果全然なかったよ…アミューの方を見る。
「違う!オメーだよオメー!」
…なんでやねん。俺が何をしたというんだ。
しかし絡まられてはいるけど銃は向けられていない。さすがに銃を向けたら戦闘が始まってしまうことも相手はわかっているのだ。話し合いでなんとかならないかなぁ。
「サイン、自分で何とかしなさいよ」
「何したんですか…めちゃ怒ってますよ…」
「…何かしたか?」
「コイツを見ろぉーーーー!」
正面で厳つい装備を付けたウォーカーが1枚の写真を見せてくる。
その写真には…
「あんたのパワーアーマーね」
「サインさんの右腕じゃないですか」
「あー!これサインの右腕部分!」
巨大なブレイカー教の聖棍を持つ巨大なミノタウロシが映ってた。右腕には俺の付けてたパワーアーマーが装着されている。ベコベコに折れ曲がってたはずなのになんでだ?
「オメー…オメーのせいて…俺達の安息の地が…」
写真を見せていたウォーカーが泣き始めてしまう…申し訳ない。アミューがやらかした場所じゃなくてそっちで発生したか。ヤバめの生物兵器…
「あーあったな…ブレイカー教に襲われたんだよ。もちろんこっちから仕掛けたわけじゃないし許してくれ。俺の肉やるからよ」
「こんなんじゃ足りない…がまあいいか…」
とりあえずはこれで丸く収めてくれるようだ…
どうせ売っても弾代にもならんしいいか。
ただアミューが頬を膨らませている。
「サインと一緒に売りたかった!」
「まあまあ、アレが沸いちゃったのは俺のせいでもあるからしょうがないだろ…おっ、そうそう、今日はこの娘の初めての商談なんだ。頼むわ」
「おー、デビューか。いいぜ。ウチの肉専門家を呼んでやんよ!終戦期でちょうど保存食が欲しかったんだ」
「いい子そうじゃねぇか。荒んだウォーカー社会には珍しい清らかな心を感じるぜ」
「ウチのもんも買っておいきー、色々あるわよー」
アミューが思った以上に人気だ…
アミューが俺に耳打ちしてくる。
「ドロドロした交渉戦は?」
「なさそうだな」
「ええーー…」
珍しく優良な寄り合い所だったようだここは…
アミューは相手が連れてきた肉専門家【ミートキング】を名乗る男と商談を始めた。
【ウォーカーチーム【ガルロンカルス】リーダー視点】
今日はウチの寄り合い所にお客さんが来た。この間、謎のマスクを付けた2人を連れたミートゾーンを訪れていた男だ。
「リーダー…仕掛けないんですか?」
「やめとけ、アイツは知らんが後ろの2人がやべぇ」
まさかあの鍵屋と【レディスナイパー】を連れてくるとは思わなかった。最初は俺たちの拠点近くにあんなバケモンを作り出した落とし前をつけさせようと思ったが、あの2人を見た瞬間に争う選択肢は無くなった。しかも喋ってる感じ親しい間柄のようだ。
「しかしねぇ、まさかこんな肉程度で許しちまうとは…他の奴らに舐められねぇか?」
「俺の勘が言ってるんだ。アレが一番の落とし所だってな」
俺の勘はいつだって正しい。部隊長の言う通り、こんな肉程度で許せるわけがないがこれ以上を求めることがダメだ。恐らく死ぬ。
俺の態度の変化を見て、他の仲間達も彼らと友好に接する方向にシフトしてくれたようだ。優秀な部下達で助かるよマジで。
「肉のこの脂肪の部分とか…」
「いやいや、冷凍することで質が…」
「熟成だよ熟成…」
思いの他ウチのキングと商談初心者の子の話が盛り上がってる。練習の成果を発揮したいんだろうな。でもウチのキングは初心者相手でも容赦はしないぞ。
………………………
「というわけで10万エルンでどうだ?」
「うーん…じゃあそれで」
「毎度あり」
おー、割といい金額で買い取ったな。俺なら7万エルンにする値段だが…
商談を終えたキングがこちらに来る。
「おいリーダー、なんだあの娘は…話してる間生きた心地がしなかったぞ…寿命が縮むわ」
なるほど、多少値段を上げてでも交渉を終わらせたのか。ミートキングは普通に戦闘の実力もある。つまり…
「アイツもやべぇやつってことか…俺達が知らないだけで…」
全く、俺の勘はマジ神!
ん?なんか地面が揺れ…
【サイン視点】
「10万エルンで買ってくれたよー」
「結構高く買ってくれましたね」
「私も肉は今度からここで売ろうかしら?その値段なら私も売りに来たいわ」
俺は交渉はよくわからんが、まあ高く売れたんだろう?か…俺は正直あんまり知らんやつに物を売らないからわからない…だから拠点が物資だらけになっているとこもあるくらいだ。
突然アミューがミートキングに向かって走る。止める間もない速さだ。
「危ない!」
「おおうっ!」
ミートキングの立っていた足元からワーム型の生物兵器が出てきた。
そしてアミューは透明にしていた尻尾でそのワームを真っ二つにした。
「おいおいおい、マジかよ!みんな!戦闘態勢!近接武器を持て!」
相手の、泣きながら生物兵器の写真を見せていたやつが声を張り上げ指示を出している…えっ?アイツがここのトップだったの?
「ワームの群れが来てますね」
「終戦期なのに…ついてないわ。私剣苦手なのよ」
鍵屋とミツガレも剣型の武器を持った。
俺は…剣持てないわ腕まだ折れてるぞ。とりあえず形だけでも…片手で調理包丁を構える。
「バカね」
「サインさん…」
うっせー!前に腰に刺さってたニン剣はエネルギー切れで捨てたし、なんかスペース空いてたから包丁入れにしてたらそのままだったんだよ!
「そんなんで戦えるのかよ…」
「元々俺は怪我人だ。期待しないでくれ…」
相手のリーダーにも白い目で見られている。ちょっと恥ずかしい。
アルティメイト ~最凶な世界でもエンジョイライフ~ ちょばい @thetyoby
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