44.一般ダイナロイドの生涯
【とあるダイナロイド】
殻を破り俺は産まれた。本能のままに自らが破った殻を食べる。体が成長していき、頭に色んな情報が入ってくる。俺の周囲にも同じように殻を食べる同胞がいる。そして感覚が無くなっていき最後に理性が飛んだ…
次に意識が戻った時には辺りは同胞の肉片でまみれていた。そして同じように立ち尽くしている同胞が10体いる…俺達は仲間だ。群れだ。お互いアイコンタクトのみで意思疎通をし戦場に向かう。
10体横に並んで5日間全力疾走すると銃声や爆発音が聞こえてくる場所に着いた。巨大な機械兵器が剣を振り下ろし、俺達の数十倍大きな体をした四足歩行の生物兵器の体を斬りつけているのが見える。
俺達もあそこに向かって走らなければ…
走っている最中に一番前を走っていた同胞の頭が光り、消し飛ぶ。レーザーか?俺達は体を透明にし左右に動き回避を試みる。頭の無くなった同胞は頭がない状態で真っ直ぐ走り続けている。まだ体に脳からの命令が残っているのだろう。俺達の頭は再生しない。奴はもう死んでいるが、あの状態でも戦うのだ。それが俺たちだ。
近づくにつれ俺達に向けられるレーザーが増えてきた。遠くから降り注ぐレーザーによって体のあちこちが焼ける。走りながら焦げた部分をそぎ落とし体を再生しながら走る。最初に殺された同胞は下半身だけになっている。
そしてレーザーを撃っている兵器が視認できた。人型で足と腕が四本ありそこにレンズがくっついているのがたくさんいる。あそこからレーザーを撃っているのだろう。
俺達は突撃し、腕をもぎ捕食し体に取り込んでいく。感覚がないため味はしない。下半身だけの同胞も一体を蹴り倒してから動かなくなった。動かなくなった同胞も俺達が食べた。
そしてまた走る。走っては壊し同胞が死ねばその同胞を喰らいを繰り返し続ける…
幾千もの機械兵器達をぶち壊した後に周りを見渡すと残った同胞は俺と雌の同胞の2体だけだった。
雄と雌、2人が生き残り共に行動をすればすることはする。時が経ち雌の腹が膨らみ卵を産み落とした。しかし巣とかはないので近場に隠しておくだけだ。
そしてまた俺達は戦う。そしてまた何日か戦った先に全身を鎧で纏った、昔に武者と呼ばれる姿をした機械兵器が俺たちの前に立ち塞がった。
雌が体を硬質化させて殴りかかるが、武者の刀であえなく首を切られ、その後体を細切れにされ絶命した。色々な感覚がない俺はその雌の死に何も思うところはないが、目の前の武者を壊さなければならないことに変わりはない。
俺は機械兵器の剣を腕から生やし斬り掛かった…が剣を腕ごと斬り落とされる。
「アア…ヨワイ…ヨワキケンダ…」
腕を即再生しまた殴りかかろうとすると武者が刀を投げ渡してきた。俺はそれを拾い構える。武者ももう一つの刀を腰から取り出し構えた。
「コレデ…スコシハ…タタカイニナルダロウ…」
武者の兵器から出る機械音声から伝わる感情は落胆だった。相手に自分の武器を渡しても自分にはどうあがいても勝てないだろうというがっかりしてる気持ちが伝わってくる。
俺も勝てないだろうとは思う。しかし勝てないから戦わないとか逃げるとかそういうものではない。俺はこの敵に向かって全力で向かわなければならないのだ。
俺はこの戦いに全てを賭ける!
「おおおおおおおおおおおおお!」
「サラバダ…」
そこで俺の意識が途絶える…
もし俺達の卵が残っていて孵化したらこいつを…
その卵は紆余曲折あり、色んな陰謀や策略に巻き込まれ、たらい回しにされた結果最終的に…
【アミュー視点】
「私には避けられない戦いがある…」
終戦期に入り隠れ家で私はサインと二人で過ごしていた。そして私の前にはいくつかの果物の缶詰がある。
メロンをメインに添えたデザート作りだ…
サインに貰った甘いサイダーを使って最強のフルーツポンチを作らなければならない。メロンと食べ合わせて味の相乗効果を上げる果物を選び、缶詰の汁の配分にもこだわり抜かなければいけない。果物の缶詰は有限…油断は敗北だ。
私はこの戦いに全てを賭ける!
「おおおおおおおおおおおおお!」
【サイン視点】
(楽しそうだなぁ…)
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