37.ウォーカーの寄り合い所
【ヴィクトール視点】
車を止め、光学迷彩カバーで隠し4人(1人?透明)でミートゾーンに向かって走る。
車の盗難をされないようにするために少し遠目に止めたらしい。
「まずはウォーカーの集まる寄り合い所から見に行こうか」
「ああ、そういうのもあるんだなやっぱり」
「さすがに一人で前線を探索しようなんてやつはほぼいねぇからな…まあ俺は最初から一人だったけど(小声)」
「へぇー、そんなのがあったんだね!あれ?でもサイン、ハイガル戦地行った時はそんなとこ寄ってないよ?」
「俺達は別に…というか基本的には寄る必要がないんだよ。今回は遠くから見るだけだ」
そう言いながら小高い丘のキツめの斜面を駆け上がり始めたサインに我々も着いていく。
頂上に登ると遠くで人が集まっているのが見えた。
「あんまり体を出すなよ?スナイパーと勘違いされて撃たれるかもしれん」
「わかった」
「…結構人いるんですね」
遠くから見た感じグループが何個もあり、そして天幕もいくつか建てられ簡易的な商売をしてるんだろうなというのがわかる。
「ああいう寄り合いは見てくれだけはちゃんとしてるが内情はクソだ。例えば初心者を喰い物にしたり…とかだな。『俺が案内してやるよ』とか言って連れ出して前線で弄んで捨てる、みたいなことが日常的に起こる」
「…クソだな」
「クソですね」
「弱いやつは喰い物にされる!世の理だね!」
全く、これだからウォーカーは嫌いなんだよ…しかしまあ、ああいう連中を見てるとサインが割とマシな性格だというのがわかる…ロウと行動をしてたので少し怪しい気もするが。
「後は俺たちと同じように寄り合いを観察してる奴もいるだろ?あいつらも今日のターゲットを視察しに来てんだ。盗賊ってやつらだ」
確かに、寄り合い周囲を少し見てみると隠れて観察してる人がチラホラ見える。
「はぁー、俺が思ってる以上に無法地帯なんですね」
「マジでな。だからこそ探索中は他のウォーカーに出会っても無視をする。俺達がいるとわかって近寄ってくるやつは敵だと思っていい」
「前に私とサインも前にたくさん殺したもんね!」
「…人間にも警戒がいるのか」
ウォーカー同士でも思った以上にやりあってるんだな…こんな環境じゃ性格もねじ曲がるわ。
「よし、こんなところだな。そろそろ俺達も行こう」
「ねえサイン、今日の探索は喋ってもいいんだよね?」
「…そうだな、小声で頼むぞ。2人もそれで」
「わかった」
「わかりました」
丘から駆け降り俺達はまた走り、紫の葉っぱの生い茂る森の手前に来た。
「今日はここから入るか。大体東エリアのとこだ」
「…ここを選んだ理由を聞いても?」
「さっきの寄り合いから離れてて人が少なそうだから」
「いきなり対人戦はしたくないですよねぇ」
「ハイガル戦地と違って木がたくさんだぁ」
すでに遠くから何かの動物の叫び声や銃声が聞こえてくる。今からここに入るのか…
「今回の目標は生物兵器の生肉がメインだ。バッグに密封袋が入ってるからそれがいっぱいになったらおしまい。奥に行き過ぎると強い生物兵器出会う可能性もあるからほどほどにな?」
「一応どんなのがいるか聞いていいか?」
「そうだな…この辺だと【キメラ】か…」
「キメラ?」
キメラか、俺も知識だけは知っている。実際に見たことはないな。
「色んな生物兵器の特徴を持ったやつだ。共食いしまくった個体がそうなる。だから個体によっても強さが違うから説明しにくいな…そういやアミューは食べないよな他の生物兵器達…」
「私はあんまり美味しそうとは思わない!メロンとかの方が美味しい!」
「…そうですか」
サインの顔に若干影が入る。このダイナロイドに食べさせるものに苦労してそうだな…ん?メロン?メロンなんて高級なもんどこで手に入るんだ?イツボシシェルターでも中々食べれない果物だぞ…今の感じだとどこかで食べたことがある風だったが。
「ふぅ、じゃあ行くぞ?できる限り戦闘は避けていく予定だ。だから不用意攻撃するんじゃないぞ?攻撃されるときなら別だが」
「わかった」
なんか少し気になったがまあ今は気にしないでおこう。雑念があると危険だ。
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