27.隠れ家の一幕 その3

【サイン視点】


無事に隠れ家に着いた俺達は戦利品を確認するために荷物を降ろしていく。

…ロウさんも一緒に…本当に家まで着いてきちゃったよ。


あとなんか俺のパワーアーマー、ギチギチいってんだけど。なんかすげー錆びてない?


「サインのパワーアーマーも壊れた?」

「おかしいな?まだそんなに使ってないんだがこいつは…」

「そりゃあれだけ濃い毒の中にいりゃそうなるわい。ちゃんとコーティングしてないじゃろそれ。前線武器や車は無事じゃろ?つまりそういうことじゃ」

「…ちょっと待てまさか…」


俺は急いでバックを開けハイエンドスウィッチングライフルを取り出す…少し錆びてますね?


「あちゃあ…マージか…」

「私のも錆びてるね…」


アミューの持ってるやつの方が酷いことになってる…アレはもうダメだなサビサビだ。捨てるしかない。トホホ…この間ヤミイチからたくさんのお宝と引き換えに買ったばかりなのに。


「お前は武器オタクなのに詰めが甘いのぅ。家で磨いてるだけじゃダメじゃよ?」

「…ご尤も…」


反論したいが何も言い返せない…

ってか俺のお父さんか!マジでおじいちゃんポジ狙ってんじゃねぇよ!


「ロウ爺のパワーアーマーは錆びてないね!」

「当然じゃわい。ワシはこれがないともう歩けないからの。ワシの生命線じゃ、整備もコーティングもバッチリじゃ」

「ふーん…私も自分のパワーアーマー欲しいなぁ…」

「なんじゃと!な、ならワシが用意してあげよう!おじ…おじおじおじいちゃんからのプレゼントじゃ」

「おいバカやめろ。アミューのパワーアーマーは俺とアミューの二人で作る予定なんだよ」


俺達の予定に割り込もうとするんじゃないよこのジジイ。


「うーん、パワーアーマーはサインと一緒に作りたいやごめんね?」

「ぐぬぬ…じゃあ何か欲しいものはないか?おじいちゃんがプレゼントしてあげよう」

「俺作巨大人形兵器が動かせるジェネレーターください」

「お前の欲しいもんは知らんわい!」


くっそ、孫にだけ甘い顔しやがって…

いや孫じゃないが?アミューは俺の娘だが?


「というかサイン、私達の持って帰ってきたこれで動かないの?」


アミューがパッケージングされたジェネレーターの箱をバンバン叩いてる


「動くかなぁ?車両機械兵器のジェネレーターで…試してみるか」

「お主らそんなもん持って帰ってきたのか…そいつが原因でワンダリングイーターが来たんじゃないかのう?」

「知らん知らん」


もしかしたらそうかもしれないけど、さすがにあんな離れたとこで探知されたら困りますよ?


「青い光…ちゃんと動いてるのうこれ」

「たまたま上手く回収できたんだ。凄いだろ」


機械兵器に付いているジェネレーターは無限にエネルギーを産み続ける。仕組みは今になってもわからない。少しでも部品が外れるとエネルギーの生産が止まり、ただの鉄くずになってしまうからだ。なので機械兵器を無力化して綺麗に回収するしか手に入る方法はない。


「じゃあ…付けるぞ?」

「わくわくするね!」


ジェネレーターを俺の家で置物化してる巨大人形兵器のエネルギー部分に丁寧に繋げ遠隔操作ですると…


上半身の…首と腕だけがクルクル回り始めた。


「足りてないのぉ」

「…車両機械兵器のジェネレーターでこれだけか?嘘だろもっと凄いのがいるのかよ」

「全然ダメだったね」


しょうがない…このジェネレーターは俺の隠れ家の電…ブブブッ!『私が買い取ろう。新しい施設のエネルギー源にするわ』姉御行きに決定した。


「姉御が買い取ってくれるってさ。多分畑の管理に使うんだろうよ」

「畑!それはすごくいいね!」

「ほほう、畑かの?今はそんなリッチなものを用意しとるんか」

「ほら、この間新入り入ったろ?そいつが見つけてたんだ」

「新入り…ああ、確かナントカってのが入ったって聞いたような聞いてないような…」

「覚えてねぇじゃねぇか」


歳の割にボケちゃいねぇと思ってたけど気の所為だったのかもしれない。


「いやぁ…だって新入りって割と大半がすぐ死ぬじゃろ?覚えるも何も覚える前に死んでおることが多いし…」

「それは…まあそうだな」

「そうなの?」


アミューが不安そうな顔でこちらを見ている。このままだと、また俺が死ぬ死ぬ言い始めそうだ。しかしこれを誤魔化すのは良くないのできちんと説明はする。


「巣の外の世界で生き続けるってのはそれだけ大変なんだよアミュー。強いやつらもな?ちょっとした小石をうっかり蹴っ飛ばして音を立てて死んだり、左右に分かれた道で間違った道を選んで死んだり…そもそも1秒どっちに行くか迷っても死んだりする。ウォーカーの平均寿命は35歳だ。だから姉御に認められたからと言ってもそこは変わらねぇんだ」

「実際お主らもワシも、下手したらワンダリングイーターにやられてたかもしれんしの」

「…そうだね」


ちなみに仲間の死者は姉御の前線予報の情報に一緒に付いてくる。死因も名前をタップすれば見れるようになってるという親切…なのかどうかよくわからない仕様だ。しかしずっと重い空気も良くないので少し冗談も混ぜとくか


「ロウさんはいつお迎えが来てもおかしくないけどな」

「抜かせ、ワシまだドクターの健康診断受けてもマジ健康が証明されとるし?まだまだ生きるわい」


ロウさんも俺の冗談に乗って、ガッツポーズでシワシワの力こぶを見せてくる。こんなにシワシワな腕でどうやって前線武器を使ってんだ。


「…なんか変な注射とかされてない?」

「それは…無いとは否定しきれん…」

「ドクターは良い人だからね!長生きさせてくれてるかもしれないよ?」


そりゃあ良い人なんだけどなぁ。

周りに連れてる肉の群れを見てるとな…


ありそう

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